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たぶんサッカーの話が多いです。

【祝・U-20日本代表選出】日本サッカーにおける「育成年代の通信簿」としての坂井大将。

 大分トリニータのMF28坂井大将が5月2日、「FIFA U-20ワールドカップ2017」(5月21日~6月12日)の日本代表メンバーに選ばれました。

順当といえば順当な選出ですが、決まってみるとやっぱりうれしいものです。

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トップランナー坂井大将

1997年1月18日生まれ、20歳。長崎生まれ、大分育ち。

1997~98年生まれを中心に構成されるU-20メンバーの中で、坂井はもっとも早く生まれた選手にあたります。さらに言うと、日本のスクールカレンダーは4月~翌3月で回るため、数少ない「先輩」という位置付けです。

また、このチームがU-19日本代表として発足した当初から、キャプテンという重責を担っています。内山篤監督の信頼はとても厚く、メンバー発表の記者会見でも「(キャプテンを)継続してお願いしています」と明言されたそうです。

実際、その大役に見合う程度には、日本代表としての経験は圧倒的なものがあります。小~中学時代はトレセンの常連で、U-15から継続して世代別日本代表に選出。U-17ワールドカップ(2013年)ではベスト16入りに貢献し、前回のU-19アジア予選(2014年)にも飛び級で出場しました。

そのうえ、2014年のブラジルW杯にトレーニングパートナーとして帯同。このU-20世代がそのまま2020年の東京五輪世代と重なるため、異例ともいえるスターシステムでトップを走る選手です。

 

大分での坂井大将

もっとも、ここまで見るといかにもエリートっぽい経歴ですが、所属先の大分トリニータでは苦難が続いてきました。

まずは中学生で入団した2009年、チームはけが人が続出して絶不調に陥り、クラブは10億円を超える債務超過が発覚。きっと「あれ、大分って強いチームじゃなかったっけ」と戸惑ったことでしょう。

高校に上がってからも、1年時からレギュラーポジションを掴みますが、世代別代表の活動もあってユースチームになかなか噛み合わず。3年時はトップチームに帯同していたが出場機会がなく、練習に参加しないままユースの大事な試合だけ呼ばれるという対応が続きました。(でも、そのおかげでプレミアリーグ参入を成し遂げられました)

J2リーグに昇格した今季も、けがなどがあって開幕戦からベンチ外が続き、初めてメンバー入りした4月29日の第10節・京都戦で、ようやく10分足らずピッチに立ったのみ。(5月2日現在)

世界大会に向けて、「試合経験が足りないんじゃないか」と不安視されています。

 

歴史を作れる男、坂井大将

でも、少なくとも何年かを見てきた身からすると、大ちゃんならやれると思います。

今まで散々、苦難のたびに「大丈夫なのかな?」と心配されながら、そのたびに信頼を獲得し続けてきました。持ち前のサッカー技術と、意外なしぶとさで、ここまでのし上がってきました。

大分トリニータでは、初めてのクラブユース選手権グループリーグ突破、Jユースカップベスト8、プリンスリーグ九州優勝、プレミアリーグ参入に貢献してくれました。世代別代表では、U-19アジア選手権で、誰もが慕う主将として初のアジア制覇を成し遂げ、10年ぶりとなる世界の舞台に導いてくれました。

アンパンマンに似ている(あっ、これ言っちゃいけないやつだった)という優しい面持ちですが、大きな歴史を作れる男です。

 

日本の大将、坂井大将

さらに言ってしまえば、日本の育成の「業」を背負った男です。

賛否両論の絶えない吉武ジャパンで重用されたのを皮切りに、その経験が評価されて後輩キャラなのに主将を任されるようになり、生まれ年のために東京五輪の最先鋒と扱われています。そんなスターシステムのおかげで、いろんな舞台を経験させてもらってきました。この経歴は客観的に見ても、身に余るブランドだと思います。

もちろん、競争社会のサッカー界ですから、ただでブランドが与えられるわけではありません。注目された者にはそれだけの活躍が期待されますし、厳しい基準で見られます。それはすなわち、U-20での大ちゃんが「日本の育成」の通信簿になると言っても過言ではありません。

 

だからこそ、日本代表のサポーターには、坂井大将という選手をとりわけ応援していただきたいです。数年にわたって背負い続けてきた重圧をはねのけるくらいの応援をしてあげてほしいです。最後に「やっぱり大将がキャプテンで良かった」と思えるくらいの力を出してあげてほしいです。

きっと、最後の最後はやってくれる男なので、よろしくお願いします。