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たぶんサッカーの話が多いです。

【J2第5節 熊本×大分】地道につないではじめての馬退治【回線環境が悪すぎてしっぽりレビュー】

エリア内なのにまったくWiMAXにつながらないせいで、試合をきちんと見るのに3時間くらいかかりました。でも、勝ったのでなんでもいいです。(いちばん大事)

ロアッソ熊本とかいう対大分最強チーム

今節の相手は、過去の対戦成績は6分け4敗と、Jクラブ中もっとも苦手としているロアッソ熊本。昇格した2012年、7位だった14年も1分1敗だったので、大分にとっては鬼門的な存在です。

何より11年ホームの矢野大輔、同年アウェイの市村篤司、14年ホームのアンデルソン、15年ホームの田中達也と、いつも80分以降に同点or勝ち越しゴールを決められるのがおなじみの流れ。「カメはウサギに勝てる」というのが古今東西の常識ですが、さすがに競走馬には“まくられてしまう”といったような結果です。

このように熊本サポーターは大分が大好きです。これは間違いなく愛です。

しかし、そのうち大分がJ1に定着する日が来て戦えなくなるまえに、ここで必ず叩いておかねばなりません。(そんな日が来るのかは知らない)

フォーメーション

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熊本

熊本は福岡U-18出身のDF26光永祐也がセンターバックに入っているという噂を聞いていましたが、4バックの真ん中に入っていたのでびっくり。試合前にレポーターが「ユース時代の運動量を生かしたいと話していました」と言っていましたが、さすがにそれはだめなんじゃないか!?!?と思いました。

もっとも個人的にはこの選手、一人のサポーター人生を変えてしまった高校生男子という印象が強いです(福岡方面を見ながら)。中谷、中山世代の柏U-18を一人で粉砕した試合はすごく思い出深いです。(写真フォルダが火を噴くぞ!と思ったけど回線不安定でDropboxが開けないので今度にします)

あとは下増田キャップのあるアカデミー育ちのレフティMF39嶋田慎太郎や、この前CKを頭っぽい何かで叩き込んだGK30佐藤昭大、左足で固定砲台やらせたら国内最強クラスのMF20上里一将、頭上にタワシのような何かを乗せたままプレーするというハンデを背負わされているのにめちゃくちゃ速いDF29齋藤恵太など、何だか良く分からないけど楽しい選手たちが並んでいます。

あと、FW36巻誠一郎が肘打ちで倒れているシーンで「前節で10針以上を縫った巻選手です」と紹介されていて、さすがDAZNは格闘技の放映権もしっかり押さえてるなと感心しました。(ちゃんとサッカーの試合でした)

大分

これまでと同じく[3-4-2-1]でしたが、先発はまたもや変更あり。DF6福森直也がベンチからもいなくなり、やたら応援の格好いい双子の弟(今節は出場停止だったのでたぶん同一人物)が相手チームにいるDF3黒木恭平が大分で初出場。DF14岸田翔平が初めてCBで先発します。

前節・徳島戦の終盤にCKに飛び込んだが決められなかったGK21上福元直人を筆頭に、上里を横に引き伸ばしたような雰囲気でキャラかぶりが心配されるMF33鈴木惇、あんまり相手チームの選手とか知らなさそうな顔で「片山選手のクロスが脅威」といった玄人っぽいコメントをしていたFW9後藤優介、デビュー戦の地だからと「熊本の皆さんに成長した姿を見せたい」と古巣感出してきた“しっぽりインスタグラマー”FW18伊佐耕平と、熊本にライバル意識を燃やしてそうな選手を並べてきます。

前節の途中から採用していた4バックもあるかと思っていたんですが、基本的な並びは3バックでした。もっとも、攻撃時には右サイドのMF7松本怜とDF14岸田を押し上げて、MF33鈴木惇が最終ラインに入って左右非対称形をつくることが多かったです。さしずめ“右傾化システムで赤狩り”といったところでしょうか。(物騒なこと言わない)

試合

解説員が「小林さん」と呼ばれていたので、えっあの熊本の大きい人?って思ったんですが、元神戸や鳥栖で絶妙に活躍していた小林久晃さんでした。スタイルとしては、足の速さとプレーモデルの一貫性に厳しいタイプで、大分のドキドキビルドアップをたくさん褒めてくれました。

前半

序盤は熊本ペース。右利きで外に逃げられない左ストッパーのCB5鈴木義宜を筆頭に、熊本の競走馬っぽいハイプレスに飲み込まれます。なんだかんだで攻め切られずに助かりましたが、何かよく分からないまま攻められ続けるのにはだんだん慣れてきました。

熊本の決定機はほぼ「嶋田が相手を外して嶋田が撃つ!」か「嶋田が相手を外し切って優しいパスを送る」というパターン。さすが下増田育ちです。そろそろ対熊本強奪実績が豊富な県にある、いかにも左利きが好きそうな監督がいるクラブとかに引き抜かれるんじゃないか……。(悪い顔)

大分はFW27三平の超ロングシュート以外は思うような攻撃ができない時間帯が続きますが、GKからしっかりとビルドアップする意識を貫きます。そんな形で我慢を続けながら23分、31分と、右サイドでMF7松本が落ち着いて持ち、FW9後藤優介にパスを送り、もう一度えぐった状態でリターンを受けてクロスという狙いが見られるようになりました。

スコアが動いたのは42分、スローインから同じような形で右サイドをえぐってMF7松本がチャンスを作った後、一度は阻まれましたが再チャレンジのマイナスクロスがFW9後藤へ。良く押さえたダイレクトシュートは相手GKが触れましたが、こぼれ球をゴール前で待ち続けて伊佐が隅っこに流し込みました。

これぞサポーターがひたすら待ちわびていた「しっぽりゴール」!!!!

練習前にしっぽりと缶コーヒーを飲み続けていた落ち着きが最大のチャンスで発揮されました。これで今季のチーム得点王です。また、右サイドからの崩しを完結できたのも今後に向けて好材料です。

流行ってほしい。

後半

中盤のパスコースを作るような修正をしたはずですが、微妙につながらずにほぼ熊本ペース。やはりMF39嶋田が起点になって、MF20上里の無回転ミドルシュートなどを呼び込みます。大分の守備陣もほぼ完璧なシュートブロックを続け、何とか守り抜きました。

熊本は65分に鉄人FW36巻に代わってFW9安柄俊を投入。その後は少し大分が持ち直しました。70分にはMF33鈴木惇の大きな展開から、MF7松本の股抜きクロスに反応したFW27三平がシュートは決定的だったが枠外。右サイドのMF7松本からFW27三平のダイレクトおしゃれヒールにFW18伊佐が反応する形もありました。

大分は72分にMF3黒木→MF17國分伸太郎とし、両チームともに左サイド“シンタロウ”システムが完成しました。74分には熊本がFW10平繁龍一→FW11グスタボ、大分がMF27三平→FW48川西で疲れの見える前線を入れ替えました。

熊本は裏に抜け出したFW9安が倒されるもノーファウルとなった場面、CKのこぼれ球からMF28林が打つもブロックされた場面、左サイドを謎の単独突破でFW11グスタボがえぐった場面など、「あともう少し」というチャンスが続きます。85分にはMF28林→MF17岡本賢昭で推進力アップを期待。

大分は最終ラインを下げたためか、中盤の距離感が悪くなってほとんどパスをつなげなくなり、そのスペースを突かれるという悪循環が出てきます。あれだけつなぐ意識の高かった守備陣も大きく蹴るしかなくなり、FW伊佐らが懸命に戻ってキープを試みるという場面が増えてきました。

アディショナルタイムは4分。片野坂知宏監督は割り切ったのか「下がるなら下げてしまえばいいじゃない」とFW9後藤に代えて元日本代表DF35坂井達弥を投入。高さに不安のあるDF14岸田を外に押し出し、CB3枚を長身で固めました。

そのかいあってか、そのままタイムアップ。大分が熊本相手に初勝利を手にしました。初対戦は2010年。ここまで長かったねえ……。

振り返り

良かったところ

  • 守備時に5枚で固めるシステムで失点せずにすんだ
  • 右傾化システムで攻撃担当だった右サイドから得点できた
  • 危ない時間帯をピッチとベンチの共同作業で切り抜けた

ここまで5試合を戦ってきましたが、たった3失点で切り抜けられているのは上出来でしょう。チーム全体の運動量が支えているはもちろんですが、屈強なCB3枚を中心に5人で固めるシステムが前提にあると思います。

また、カウンターに出やすいような可変システムが徐々にまとまってきて、一発で仕留められなくても押し込む場面が作れているというのも好材料です。4バックにするにしても基本的な役割は同じですし、おおまかに今後ずっと適用されるプレーモデルが定まってきたと言えるでしょう。

最後に片野坂監督の対応力です。前半に悪い時間が出てきてしまうのは「選手がパニクっている」ような部分もあるのでしょうが、相手の出方が分からない状態で受けて立つ形になってしまうのは、「大怪我はしない」的なリスク管理のメリットもあります。そんな中でしっかり後半にテコ入れして、状況に合った選手を投入している点に安心感があると思います。

不安なところ

  • 危険な形のパスミスが多かった
  • けが人が増えてきている気がする

この試合に限った話ではないですが、最終ラインを下げるような選択をした場合にバタバタするケースがよくあります。ただ相手にボールを回されるだけなら布陣が整っているので良いですが、せっかく奪った後にパスコースがなくなってしまうと、攻撃布陣に移っている場合はさらなるピンチにつながります。

そういったトランジションのやりくりに関しては「動きたいけど動きすぎてもいけない」的な永遠の課題でもあるので対応も難しいですが、リードしている状況ではもうちょっと逃げ道が確保できていればいいんじゃないかと思いました。たとえば完全に安心できるGKのビルドアップは、MF33鈴木惇が逃げ道になってミドルパスを受ける体制になっているためです。

けが人問題はMF15清本拓己以外はリリースされていないのでよく分からないんですが、DF6福森やDF29岩田智輝が外れているのはそのためなんじゃないかと推測されます。今節終了後にDF5鈴木義が担架で運ばれたという話もありますし、誰が悪いわけじゃないけど不安が残ります。大前提として「守備は筋肉で押し返す」といった側面が強くなっていると思いますので。

結論

いずれにせよ、5試合の「勝ち点9」は上出来とまでは言えないにしろ、ペースとしては十分だと思います。

2012年の昇格時は目標が10でしたし、最終的な勝ち点71は5試合平均で9ポイント以下です。最近は格差が大きくなって昇格ラインも上がっていますが、自動昇格を狙うような財力でも戦力でもないので、しばらくは謙虚に行くのがいいと思います。

喜ぶときは喜んで、締めるときは締めるというお手本。さすが今季のエース!