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たぶんサッカーの話が多いです。

【U-20W杯】不安的中の日本は辛くも勝利、そして白熱のイタリア×ウルグアイ【実質、坂井大将カメラ】

U-20ワールドカップ2日目、いよいよ日本代表の初戦です。

この日の会場は水原ワールドカップスタジアム。2002年の日韓大会に向けて作られた施設で、3-0からの圧倒的な同点劇があったセネガル×ウルグアイも行われた場所です。

この日は全州からの移動となったため、宿泊予定地となるソウルへ2時間半かけて北進し、荷物を置いてから再び南方の水原へ30分間ほど下るというスケジュール。移動は苦にならないので、これはこれでアリです。

 

全州市から水原市

全州では1泊2500円のゲストハウス。競争がない地域はちょっと高くなっているようです。ただ、前日の疲れが残っていたのでゆっくり騒音のない中で休めたのはよかったです。シャワーの水量はいまいちでした。

そしてソウルへ出発。列車は前日と同じKTXですが、さすがに座りたかったので3200円のエコノミーシートにしました。立ち席よりは500円ほど高いけれど、ゆっくり休むことができます。全州駅ではコーヒーとサンドイッチ。Dutch Coffeeという水出しコーヒーらしい。

https://www.instagram.com/p/BUVVZvolWyW/

Dutch Coffee

到着後はソウルのゲストハウスで荷物をキープ。1泊1000円なのにここまでやってくれるのはとてもありがたいです。2泊する予定のここの部屋は、カーテンのない2段ベッドで、「男女共用」といって本当に女性がいたのは初めてでした。試合が遅くまであってほぼ眠るだけなので気にしませんが。

そしてソウルを出発。水原への高速列車は270円程度で、距離にすれば30kmくらいあるはずなのに、あまりの安さにびっくりです。正直、どうやって鉄道会社を維持しているのかよく分かりませんし、もしくはJRってどれだけ儲かってるんだという気分でした。(WIN BY ALL!)

アメリカ色の強い中東アジアなどに行くと同じような目に遭います。飲みたくないかと言われればたしかに飲みたいですが、あんまり頻繁に飲んでいるとファーストチョイスになってしまうので自重したいところです。

 

スタジアムへ

GoogleMAPに従うままに、路線バスで向かいました。韓国は徒歩経路がまったく出ないんですが、バス停の位置と番号があまりに正確なので驚いてしまいます。

30分くらいバスに揺られていると、スタジアム近くのバス停に着きました。そこから猛暑の中を15分くらい歩くと大きな建築物が見えてきます。派手さはありませんが、しっかりとした外観です。

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事前に予約しておいたチケットを発券します。全州よりも会場外の飲食ブースが広く、軽く盛り上がっている雰囲気でした。手荷物検査はありますが、会場からの入退場は自由なので、試合中に飲み食いしていた人もいるようです。ちなみに、あんまりおいしそうなものはなく、カップ麺を買う人が大半です。ワールドカップだけに。

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中身は立派な専用スタジアム。客席がカラフルに塗られていて、観客が入っていない状態でもにぎやかに見えます。この日は天気がよかったので、さらに良い雰囲気でした。芝の調子も目立って悪いところは見受けられず、決戦の場にふさわしい舞台です。

 

日本×南アフリカ

「初戦の入りが心配」とはこの世代に限ったことじゃないですが、まさに難しい試合になりました。南アフリカのスピード&パワーに序盤から圧倒され、早々にオウンゴールで失点する苦しい展開。「やはり世界は甘くない」という現実を叩きつけられました。

それでも相手の守備の穴を突いて、交代策も生きた後半の2得点で逆転。終盤はパワープレー(人数というより純粋にパワー)で危ない場面もありましたが、まとまった守りで決定機は作られることなく、見事に初戦を白星で飾りました。

もっとも、試合のレポートは普通にプロの記者が書いたものを読んでいただくとして、ここでは個人的に注目している坂井大将について書くことにします。

この試合では、ボランチの一角として板倉滉(川崎フロンターレ)とコンビを組み、90分間のフル出場。ゲームキャプテンとして、U-20世代で10年ぶりとなる世界大会の勝利をピッチ上で迎えました。

 

キャプテンとしての働き

「大将」という名前どおりかどうかは分かりませんが、坂井はチーム発足時からキャプテンを務めており、周囲からも信頼される立ち位置にあります。明確な威厳があるわけでもなく、上から指示を出すタイプではありませんが、豊富な「日の丸経験」を生かしたチームマネジメントスキルを持っています。

もっとも、Jリーグでの実績は他の選手に先行されており、ファンの中にも「なぜ選ばれるんだ」という声も少なくないようです。それはそうでしょう、J1で先発を奪い取っている選手が並ぶなかで、J2でフル出場したこともないわけですから。

ただ、そんなことは本人だって百も承知。だからこそ、他の人にできない個性を出していかねばなりません。この試合では、そんな「自分ができることはすべてやるぞ」という覚悟が見えました。

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試合前のウォーミングアップでは最前列で先導し、その合間にはさまざまな選手とコミュニケーションを取る姿が見られました。選手整列後の握手では、一人だけ南アフリカ選手のそばに立って味方選手を迎え、全員の手を握って声をかけていました。さして難しいことではないかもしれませんが、これをやろうという配慮が大切なのです。

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10年ぶりに開いた世界への扉、そんなワールドカップの舞台でコイントスを迎えます。手にしたペナント、腕に光るキャプテンマーク、そして「10」の数字。とても頼もしい姿です。

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国際試合では、テレパシーを通じたレフェリーとのコミュニケーション能力も大切です。(左手で受信して、右手で送信します)

 

10番としての役割

そう、大切なのはその「10番」です。いくらキャプテンとしてチームをまとめられるとはいえ、ピッチに立つ以上は一人の選手。そのうえ10番を背負っているからには、チームのために何らかの価値を表現しなければなりません。

その中でも、この試合では「コンビ」がポイントになりました。というのも、この日の相方は川崎フロンターレの板倉滉。公式戦では初めてとなる組み合わせでした。その狙いは「南アフリカの高さ対策」とのことで、ざっくり言えば守備を意識したもの。すなわち、坂井の弱点補強という意味合いもあったでしょう。

坂井はこの代表になってから、何度も「誰と組んでも相手の特長を出せるようにプレーする」という言葉を口にしています。そして実際、この試合の板倉は「競ってよし、詰めてよし」の大活躍。サイドまで飛び出して行って相手のドリブルにスライディングで食らい付く場面もありました。

一方の坂井は中盤のバランサーに徹して、相方がボール奪取した後のポジショニングを愚直に取り続けました。また、相方が飛び出して生じたスペースを埋め、そこにロングボールを放り込まれた時には慣れない競り合いもこなしました。普段の役割である「味方のビルドアップの逃げ場」となることも含め、目立ちはしませんが相応の働きをしたと思います。

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次の試合も頼むぞ!!!!(けっして5歳差には見えない)

 

狂熱のイタリア×ウルグアイ

そんな感じで日本の勝利に喜んでいた1時間後、同じピッチ上では異なる空気が広がっていました。おなじみの国歌とともに始まった試合はイタリア対ウルグアイの古豪対戦。正直に言って、先の試合とは「大人と子供」のような差がありました。

お互いに[4-3-3]を採用したこの両者。ところが、スタートポジションに固執する様子はありません。CB2枚でビルドアップする際、相手3トップの1枚が追ってきた場合は2人が大きく開き、2枚で追いかけてくる場合はアンカーが落ちて3枚に。3人が前に立った時は、もう一人のボランチがスペースを狙った位置取りでパスを待つ。

さらには、落ちてくるアンカーは相手の布陣次第で代替可能、サイドバックは相手の中盤にも圧力を掛け、前線3人は相手最終ラインと駆け引きする。そんなふうに、簡単に脳内処理することができないような動きを絶え間なく繰り返すという、いわゆる「インテンシティー(強度)」の高い両チームでした。

結果としては、両チームともに決定的なシーンを5回以上も作り、それでも屈強な守備陣が防ぎ続け、最終的には終盤のセットプレー(スペシャルな弾丸FK)で決するという、観戦者にとって理想的な展開でウルグアイが勝利しました。

能力の高い選手を挙げればキリがなく、良かったところを挙げれば普段の大分トリニータレビューより長くなってしまいますが、幸運にも(不運にも?)日本はこの2チームとの対戦を控えています。なので、「その目で見ていただければ」と。われらの代表チームがどういった対策をしていくかも含めて、本当に楽しみです。

 

最後に

 

またやりました。今後の韓国生活の教訓にしたいのでここに記しておきます。