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たぶんサッカーの話が多いです。

【J2第8節 大分×金沢】備えあれば憂いなしだが……?【リアルタイムレビュー】

久しぶりのリアルタイムDAZN観戦です。

それにしても、やっぱりストレスありますね。スカパー!だと「引き」の場面がたまにあって、フォーメーションの確認はそれほど時間がかかりませんでした。しかしDAZNの場合は寄りが多くて低画質も相まって、慣れない相手チームを見るのが難しいです。

スタジアムに行かせたいJリーグの狙いでしょうか。(安易な陰謀論

 

勝利スタンプラリー未踏の金沢

ツエーゲン金沢とは、2015年のJ2リーグ戦で2度の対戦。1分け1敗と負け越しており、勝ったことがありません。今季は「9回目の正直」でようやくロアッソ熊本に勝ったということで、J2以上で唯一未勝利の相手をここで倒しておきたいところです。(J3では琉球、沼津=未対戦が残っている)

個人的には石川県出身の女性声優に関心があるということで、無駄に金沢市には何度も行ったことがあるのですが、スタジアムには行ったことがないので後半戦は行こうと思っています。

なんらかのメッセージ性すごい。

 

熊本・大分地震から1年

今節は、昨年4月16日の熊本・大分地震から丸1年になる週の開催。熊本県内ほどの被害でないため目立ちませんが、大分県内では別府市由布市で観測史上最大の震度6弱を記録しました。幸いにも死者こそありませんでしたが、多数の家屋が全壊・半壊し、3人の高齢者が「関連死」と認定されています。

震災とサッカーの関係といえば、6年前の東日本大震災が挙げられるでしょうか。すぐに全試合中止を決め、義援金集めに動いたJリーグの姿勢が賞賛されていたのを記憶しています。

個人的には短期留学から帰ってきて、ホーム開幕戦を見ようと帰郷を翌日に控える中、東京都内で揺れを経験しました。再開の見込みが立たないままのトレーニングマッチ、カズさんがゴールを決めたチャリティーマッチ、リーグ再開戦となった川崎F×仙台など、大学が休みになって暇を持て余していたこともあり、いろんな会場に行きました。

そんな自分が今回の熊本・大分地震で感じたのは、あのときの経験は間違いなく生きているなということでした。

むろん、地震による建物の倒壊だけでなく大津波で15893人の死者が出て、いまも数千人が行方不明となっている被害の規模は比べるべくもありません。ただ、首都圏から遠く離れた九州での災害にもかかわらず、「地震で困っているなら何かをやるのはJリーグ」といった意識が自然と出てきたことがとてもすごいことだと思います。

もちろん、大きなムーブメントが起こった背後には、細かい部分で支援の漏れや偏見が生じやすいのも事実です。そのあたりは福島のほうも見習って、ゆっくりと説明しながら解決していく必要があると思います。

 

フォーメーション

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大分はコンディション不良という噂のあったDF6福森直也が復帰。好調を支えていた3バックがそろいました。これでDF5鈴木義宜が右に戻ることができ、MF14岸田翔平が一列前に行きました。

金沢は中盤ダイヤモンド風の[4-4-2]。相手にはマンツーマン気味に付いて、前線から下りてくるシャドーと球出しをするボランチを潰す狙いがありそうです。DF3作田裕次は11~12年に大分所属。12年は大分のJ1昇格で放出された形になりましたが、いつの間にかカテゴリで追い抜かれていました。

MF6大橋尚志DF28石田崚真は96世代のJユース育ち。いずれも今季からの加入で、前者は鹿島から完全移籍、後者は磐田から期限付き移籍です。ベンチには鹿島ユース→鹿島のFW19垣田裕暉、新潟U-18→新潟のMF15宮崎幾笑(「キワラ」と読みます)の97世代コンビもいて、ちょっと気になるチームです。

 

優勢に進めつつも、一本が出ない前半

序盤から、大分がボールを握る展開でした。カギとなったのは3バック。DF5鈴木義とDF6福森が利き足のサイドに入ったことで、勢いのある縦パスがどんどん通ります。DF5鈴木義の縦パスの落としが逆サイドを上がったDF6福森に入り、リターンがFW27三平に入った5分の場面なんかは象徴的でした。

縦パスが入れば、相手を押し込むことができます。すると中盤下がり目でMF33鈴木惇が自由にボールを持つスペースができ、シャドーに付けた後も味方のさらなる押し上げを待つ時間を作れます。ここまでくれば[3-4-2-1]と[4-1-5]の可変システムを維持できるので、大分のペースだと言えるでしょう。

もっとも、前半は0点に終わります。FW11林容平が相手CB2枚に競り勝つのは難しく、シャドー2枚が下りてきても次の一手が出ません。相手のプレスをかわすところは完成しつつあるので、あとはどうやって崩し切るかというところです。リスクを背負っても仕方がないので、前半の戦い方としてはこれでいいと思います。

 

しっかり勝ちきった後半

大分は54分、いまいち調子の上がらないFW11林が足を痛め、MF48川西翔太を投入します。MF20小手川宏基がシャドーに上がるパターンはすでに恒例です。

57分、MF33鈴木惇のロングボールからFW27三平和司が抜け出したシーンは、トラップがハンドになりましたが前半にない形でした。

前節の後半からシャドー2人が大きい動きで引いて受ける姿が目立ちますが、そういった狙いは裏に走るときにも生きてきます。直後の58分には下がって受けるFW27三平が倒される場面もあり、金沢の守備陣を混乱させることができています。

金沢は60分、MF24大槻優平→MF15宮崎幾笑を交替。おそらく左利きだったと思いますが、右サイドにそのまま入ります。この試合ではドリブルからパンチ力のあるカットインシュートでGKを横っ飛びさせるなど、線の細さによるスタミナの問題さえ解決すれば出番はありそうです。

大分はその後もMF33鈴木惇を中心としてゴールを狙います。ワンツーで抜け出して獲得したFKを自分で狙った64分の場面だけでなく、66分にはGK21上福元直人からのつなぎを複数本の斜めパスで破ったところにミドルシュート。1対1でも相手をストップし続ける攻守にわたった活躍で、あとは格上相手にどれだけこのプレーができるかだ……。

大分は68分にMF16山岸智→MF17國分伸太郎。この交替も恒例になってきました。金沢は73分にFW9佐藤洸一→FW19垣田。今季に限って言えば突貫パワー系はあまり怖くないですが……。

金沢の単発攻撃以外ではほぼハーフコートで試合は進んでいきますが、75分に大分が先制点を獲得します。右気味で持ったMF33鈴木惇から前線へのふわっとロングパスをニアに入ったMF20小手川がおしゃれなバックヘッドでフリック。ファーに流れたところをFW9後藤優介が頭でプッシュして決めました。

押し込んだ状態で最後に流れを変えるのは個人能力ですが、ここでは絡んだ各人の個性がガッチリ噛み合っていたと思います。

大分は77分にFW27三平をFW18伊佐耕平。金沢は82分にFW10中美慶哉→FW14金子昌広。お互いに筋肉攻撃色を強めていきます。望むところだ。

もうちょっとパワープレーとかあるのかなと思っていましたが、大分がコーナーキープに入ったこともあって、そのまま危なげなく試合終了。大分が3試合ぶりに勝利しました。

 

気になったところ

・引いた相手を崩すという練習になった

これまで片野坂知宏監督は、GKからつないで崩すという部分に明確な意図を持ってチーム作りをやってきています。昔なら危なっかしくて見ていられないサポーターも多かったでしょうが、最近ではずいぶん慣れてきたように思います。(もっとも、世界の潮流は変わってしまったわけですが)

それは「J2の守備陣が大分をリスペクトして引いてくる」という想定があってのものなのか、「どんな相手でも守備組織を崩さなければならないから時間をかけてやっておく」という強い意志によるものなのか、詳しい部分は定かではないですが、この試合は良いモデルケースになったと思います。

 

・格上相手に戦うときにどうなるのか

失礼な言い方にはなりますが、金沢は「戦術以前」といった印象を持ちました。大分の良さを消してくるサッカーこそしていましたが、リスクマネジメントをしている中ではカウンターも不発。すなわち、勝つためのサッカーをしてこなかったように思います。

もっとも、これまで大分が負けてきたのは東京V、徳島、山形と、いずれも格上にあたる相手です。そのようなチームから勝ち点を掠め取るよう最大値を高めるのか、下位相手に取りこぼさないよう最小値を高めるのか、そういった問いがこれから出てくることだろうと思います。

この試合では相手のカウンターに奪いに出られず、最終ラインを下げ続けてしまうような守備が何度か見られました。人数はそろっていたので致命傷にはなりませんでしたが、強い相手なら一発で仕留められてもおかしくありません。

そこを割り切ってこのまま攻撃に比重を置くのか、まずはステマチックな守備組織を整えるのか、今後の方向性に注目していきたいと思います。防災は準備が大事です。

 

まとめ

短くしようとしてみましたが、また長くなってしまいました。(ここまで4000字超)