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たぶんサッカーの話が多いです。

【J2第6節 大分×愛媛】海を隔てた隣国に友好なしの豊予海峡ダービー【ずいぶん遅くなりました】

年度末になって急に仕事が忙しくなり、なかなか見られませんでした。さすがに待っている人はいないと思いますが、第6節の愛媛FC戦のレビューです。

素人ブログのくせにトリテンより遅いエントリに存在価値はあるのかと疑問に思えてきましたけども、なんとなく習慣になってきたので書きます。

危ないカエルがやってきた。

愛媛と言えばこいつ。

みんな大好き一平くんです。まさかのタイガー柄で来ました。

自慢のマスコット、ニータンも。

新旧おおいた銘菓の「とり天せんべい」も「ざびえる」も。

美人も。

すべて、ヤツが奪っていきました。

なので、勝たねばなりません。

(でも、会いに行きたかった……。)

 豊予海峡ダービー?

今季から実況席に戻ってきたテレビ大分の小笠原正典アナウンサーが言っていましたが、この対戦は「豊予海峡ダービー」と呼ばれているようです。「豊後」と「伊予」を合わせて「豊予」。すなわち、早慶戦で言えば大分は早稲田役でしょうか。(あれ、なんかだめな気がしてきたぞ)

実はこの豊予海峡、ここ数年の県内ニュースでよく出てくる政治的イシューです。

さかのぼればまだ日本がバブル経済期だった1980年代末期のこと、両県では「豊予海峡に海底トンネルを作ろう!」的な動きがありました。しかし当然ですが、だんだん景気が悪くなるにつれて、海流が複雑であることやそもそも凄まじいお金がかかることから頓挫します。

ところが2年前、新たに就任した大分市長が旗頭となり、「新幹線を作れば採算は取れる」「愛媛県側の佐田岬伊方原発があるから逃げるのに便利」といった理由で計画が復活しました。最近ではけものフレンズに出たことにより一部で注目を浴びていますね。

実はこの豊予海峡ルート計画、個人的には大好きで、この時代に海底トンネル作ったり、でかい橋をかけたりするのはすごく夢があると思います。だいたい8000億円から3兆3000億円くらいの財源が必要になるらしいです。なんというバブル。その勢いで大分トリニータも年間予算20億を目指していきたいところです。

他にも、せっかく借金地獄で金に汚いキャラを築いてきたのに不正会計とか真っ黒感で上回られてムカつくとか、大分名物の関アジ関サバは愛媛側で食うとブランド化されてないから安くてムカつくとか、仕事や進学で愛媛からきた人に美男美女が多くてムカつくとか、いろんな因縁があります。豊予海峡すごーい。

フォーメーション

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大分は前節・熊本戦から1人を入れ替えました。好調だったFW18伊佐耕平がコンディション不良ということで、開幕スタメンだったFW11林容平を起用。まあ、実力は2014年後半戦の結果で間違いないですし、異論はないでしょう。DF14岸田翔平とMF3黒木恭平の「双子の片割れ」コンビも継続です。(DF6福森直也はリリースが出ていませんが、けがでしょうか)

愛媛も大分と同じ[3-4-2-1]。後述するようにすぐに[5-3-2]のような形に変更しますが、ひとまずスタートはミラーゲームを仕掛けてきます。愛されたいねずっと見過ごした君のシグナル西田剛(FW18)の下に、4戦4発大分キラーのFW20河原和寿、いかにも早稲田顔FW7近藤貴司のツーシャドーが並ぶ攻撃陣は強烈です。

監督はオシム監督の通訳を務めていたことで知られる間瀬秀一氏。少年のような目でギラギラ喋るインタビューが素敵です。「エーコ」こといかにも中学生が付けそうなニックネームのMF41小池純輝といい、永遠の優男MF8小島秀仁といい、何か顔がいい選手が並んでいるの憎いな……。(個人的にはMF5藤田息吹にシンパシーを感じます。どことは言いませんが)

あとは3バックのメンツから感じられる「J2のスリーバック感」は異常。(伝われ)

試合

停滞した前半

序盤は大分がボールを握って、引いた愛媛が受ける展開。FW27三平和司とFW9後藤優介がスペースで受けて、ペナルティーエリア内に侵入するシーンもありました。3バックにMF33鈴木惇を加えた4枚でのビルドアップに、愛媛の前線から繰り出されるプレスは空転します。

それを受けて愛媛は[5-3-2]に変更。2トップにFW18西田とFW20河原、3センターのアンカーにMF8小島秀仁が入ります。大分のボールホルダー2枚に前線をハメることで、ビルドアップを寸断する狙いでしょう。実際にこれがうまくいって、MF33鈴木惇が下がって組み立てることは難しくなりました。

大分のDF陣は決して球出しが下手なわけではありませんが、DF5鈴木義宜は右利きなので左から配球するのは苦手。ウイングバックに預けることでプレスをかわして前に進もうとしますが、28分にMF7松本怜が負傷したことで手詰まりになりました。31分にDF29岩田智輝が入ります。

前半は目立ったチャンスがお互い1~2回ずつ。愛媛のFW20河原がアーリークロスをファーでヘディングしたシーン、大分はFW11林容平が裏に抜け出したシーンくらいで、お互いに決定的な仕事はできませんでした。

動きが出てきた後半

愛媛は前線の2枚+2枚が前後左右へダイナミックなフリーランを繰り返すことで、多くのチャンスを作ります。MF8小島からFW20河原へのスルーパスは惜しくもオフサイドになりましたが、FW20河原が下がってきたスペースに3人が飛び込んでいく形も何度か見られました。

これにより大分の守備陣は徐々に後退するしかなく、クロスを上げられるシーンが増えてきます。58分のMF5藤田からMF41小池へのクロスは終わったと思いました。実際、これまで大分の3バックは前に出てつぶすシーンは多かったですが、横方向の揺さぶりに弱い印象があります。

小笠原アナが何度も愛媛FW20河原に対して「童顔ですが、もう30歳になりました」と言っていましたが、親戚のおじさんみたいでした。元大分組への深すぎる愛情。こうして徐々に5戦5発へのフラグが立ってきます。

スコアが動いたのは65分、中央右目でFW7近藤が前を向き、外にいるMF41小池にパス。MF41小池が低くて回転するクロスを配給すると、FW18西田がダイレクトで押し込みました。大分はMF33鈴木惇、DF3黒木恭平、DF5鈴木義宜がそれぞれきれいに外されており、これでは守れるはずもありません。FW20河原に決められなかっただけマシでした。

迷いが出る愛媛

無事に先制した愛媛でしたが、ここで途端に最終ラインが下がります。後半のラッシュで蓄積された疲れが出たのでしょうか、「先制したからどこかで落ち着こう」という気持ちの表れでしょうか。いずれにしても、均衡が敗れた直後に、リードしたチームが費用対効果のようなものを意識してしまうのはよくあることですね。ここで再び大分がボールを握れるようになりました。

75分にはDF29岩田のクロスにFW27三平が頭で反応し、こぼれ球を拾ったDF3黒木が縦パスを入れてFW27三平のシュートをお膳立て。78分にはFW9後藤優介が50メートルのロングドリブルでゴール前に攻め込むなど徐々にチャンスも増えていきました。それにしてもFW9後藤の身体能力はすごい。

大分は76分、FW27三平→MF48川西翔太で2枚目のカードを切ります。FW48川西がボランチに入り、MF20小手川宏基が一列前へ。82分にはイエローカードをもらったDF3黒木→MF17國分伸太郎で攻めに出ます。

もっとも、このあたりで愛媛が完全に引いてきたため、なかなか狙い通りのチャンスは作れません。FW11林がイーブンの状態から空中戦で競り勝ったり、FW9後藤がアーリークロスを胸トラップからハーフボレーを見せたり、筋肉で打開しようと試みていました。

極めつけはアディショナルタイム直前、DF4竹内彬が前線に入ってパワープレーを仕掛けます。鈴木コンビが最終ラインからロングボールを放り込み続け、なんと空中戦はほぼ全勝。しかし、あまり練度は高くなく、落とす場所に人が居なかったり、ついにはロングボールが届かなくなったり、ゴールを脅かすほどには至りません。だんだん脳筋感出てきました。

愛媛は89分、別に女々しくないFW18西田に代えてMF20神田夢実。下増田で國分世代の大分U-18が4-0で粉砕した札幌U-18の元キャプテンです。今日も童顔だな!そして93分、パワープレー対策でFW7近藤→DF4西岡大輝で締めにかかります。さすがに大分も万事休すか。

筋肉でたぐり寄せた奇跡

……と思われた95分(アディショナルタイムは4分だったけど!)、大分がMF7松本怜不在の右サイドから奇跡を起こします。

3人で崩して配球したDF29岩田のクロスは信じられない低精度でゴール手前に落ちますが、クリアを試みたMF5藤田が左足でまさかのミスキック。ボールはGK31パク・ソンスのもとへ飛んでいき、何とかパンチングで難を逃れましたが、上がっていた大分DF14岸田が競り勝ってFW11林につなぎ、ゴリゴリごちゃごちゃとした感じで左足プッシュ!これがゴールへまっすぐ転がっていき、同点弾となりました。

FW11林はこれまでオフサイドによる幻のゴールとPK失敗(ポストの跳ね返りを自分で触れるうっかりも)で2度のチャンスを逃していたので三度目の正直。普通にやれればエースなので、ここからの巻き返しに期待がかかります。試合後のインタビューもまったく満足した様子がなくて、ちょっとグッときました。

そしてプレー再開直後に試合は終了。勝ち点1を分け合う結果になりました。「今日の試合を振り返って」と言われた間瀬秀一監督が「……1-1でした。(見れば分かる)」とヤケ気味に言ったのがこの試合の内容を表していたと思います。愛媛のほうが「うまくやった」のは間違いありません。

今日の反省

良かったところ

・なにより最後に気合と筋肉で追い付いたところ

ここに尽きるでしょう。その他は個人技のレベルアップこそ見られましたが、これまでの試合に比べて良かったところはそれほどなかったように思います。

悪かったところ

・2枚でプレスに来た場合に3枚で組み立てができない

相手が[4-4-2]で来たときもそうですが、かみ合わせが悪くてMF33鈴木惇が下がれない場合に、3バックが縦パスうまく出せない課題が出ています。パスの精度と強さが足りないせいか、中盤でうまく受けきれずに相手のプレスに押し流されてしまっています。

無理にMF33鈴木惇が下がっても、4対2になって相手の枚数がそろう形になるので、変なミドルパスが奪われるシーンも見られました。DF5鈴木義が持ち上がるなり、ストッパーが開いてボランチが落ちるなり、もっと相手のプレスを誘い込むための工夫が必要であります。

・引いた相手に対しても力技しか出せていない

主な攻撃パターンは①FW11林への低いロングボール→ポストプレー②下がってきたFW27三平、FW9後藤に当ててターン③右サイドの3人で突破→クロスという形なのですが、徐々に気付かれて対応されるようになってきています。

J2なので相手のミスを突くか、最善のプレーをすれば普通にゴールは決まりそうですが、もっと変化を付ける場面がほしいところです。終盤にボールタッチに緩急を付けられるMF20小手川を前線に上げたのはそういった狙いもありそうです。実際、得点時はそこで相手を剥がしたところからチャンスになりました。

・左右の揺さぶりに対して5バックが遅れる

東京V戦でも、徳島戦でも、ゴール斜め前30メートルのあたり(最近よくラームとかが使ってなんとかレーンと呼ばれているエリア)でボールを保持され、そこから大外を突破されるなり、速いパスで前線に当てられるなりして、ゴールを決められています。

5枚で守っているとどうしても、そこが空いてしまうのは仕方ありません。しかし、ウイングがしっかりプレスバックして[5-4-1]を作るなり、ウイングバックの2人が絞って行くなり、ストッパーの2人が出てきてつぶすなりしないと、同じことの繰り返しになってしまいます。ここはDF6福森の不在も大きいようですが……。(いない人のことを言っても仕方がありません)

まとめ

さすがに5試合も経過してくると、どのチームも戦い方がはっきりしてきています。そこで強みを出すことが何より大切ですが、弱みを隠すことも必要になってきます。(田坂さんの評価は悪いみたいけど、これに関しては松本の陰険メガネ氏と張れるレベルだと思うんですよね)

次節の山形は元千葉でプレーオフでも対戦したさわやかメガネ監督なので、それなりの策を練ってくるでしょう。これまでは「何ができるか」を見てきましたが、徐々に「何をさせないか」の部分にも注目していきたいところです。とにかくオーロイに注意だ!

(その黄色いチームがハイラインの裏を突かれてセンターサークルからロングシュート決められてたのは学びがあったのでやはり弱みは消す必要があります)