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たぶんサッカーの話が多いです。

【J2第10節 大分×京都】3失点で「岩崎は大分が育てた」と言い続ける権利を奪取【田中も大活躍】

ようやくJ2リーグ戦も10試合。徐々に各チームの戦い方が定まってきて、観戦者にとっても特徴を把握できてきたころでしょうか。

 毎年そう言われているような気もしますが、J2リーグは今季も大混戦の様相。首位から5位が勝ち点1差にひしめき、勝ち点6の「2馬身差」には15位までが入っています。

そんな中、今節で対戦する京都は不気味な存在。開幕から得点力不足で下位(19位)に沈んでいますが、ここに来て「戦術闘莉王」というべき麻薬に手を染め、徐々に調子を取り戻しています。

今節は休みが取れたので、ホーム大分銀行ドームで観戦。とても天気が良くてビールを飲みたい気分だったので、JRとバスを使って行きました。

 

サッポロこそが至高

大分県内にはサッポロビールの日田工場があるので、どの屋台にも黒ラベルの生ビールがあります。あまりの開放感から、試合前に2杯いただきました。

おつまみはホルモン焼き。普段よく食べる佐伯市の「あつめし」がなかったので、昼間から完全に居酒屋モードです。

ほぼ、酔ってます……。でも、この無駄しかなさそうな骨組みはとにかく最高。2カ国共催のワールドカップバブルなんかに負けず、3年後の東京五輪でもたくさんこういうの作ってほしいです。

 

フォーメーション

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大分は開幕から練度を高めてきた[3-4-2-1]FW27三平和司がコンディション不良かメンバーから外れ、FW18伊佐耕平が先発に復帰しました。それ以外は金星を挙げた前節・湘南戦と同じ布陣です。

固定したメンバーで戦っているというよりは、負傷者が多いためやり繰りに困っているという印象です。ざっと挙げるだけでも、MF7松本怜、MF15清本拓己、FW11林容平、FW27三平という超先発級の選手が離脱しています。

京都はいつもの[4-4-2]。負傷で開幕に出遅れたFW4田中マルクス闘莉王がここ5試合5得点と大爆発を続けており、FW9ケヴィン・オリスとのパワー系コンビは脅威となっています。

また、中盤にはMF13岩崎悠人、MF22小屋松知哉京都橘高校出身コンビ、最終ラインにはDF6本多勇喜、DF30石櫃洋祐といういかにも名古屋からの造反感あふれる2人がいるなど、サイドプレーヤーの能力も高いと思われます。あと、DF3高橋祐治がめっちゃ引くくらいイケメンです。

 

森島、森島、森島、森島

京都との思い出といえば、直近で思い浮かぶのは2012年11月18日。西京極で戦ったJ1昇格プレーオフ準決勝でしょう。現在は隣県でkyuリーグに波乱を巻き起こしているFW森島康仁テゲバジャーロ宮崎)の4得点で派手に勝った試合です。

あの時は「いろいろあったけどこれからがんばるぞ」という気分で昇格に挑み、あれから6年半が経った今では「もっといろいろあったからもうなにがあっても驚かないぞ」という気分で戦っていますが、あの日の勝利がなければこのクラブが続いていたかどうかは分かりません。

そういう意味では京都に感謝をしなければなりません。(そういう思いから翌年のプレーオフ決勝は応援に行ったんですが普通に負けてましたテキストテキストテキストテキストテキストテキスト)

 

DF田中、ロール芝で腹筋肉離れ事件

もう一つの思い出といえば、2009年10月24日。これも西京極でしたが、大分トリニータ「初めて」降格した日です。まあ、京都はあんまり関係ないか。

あの時はまだピュアに勝敗に一喜一憂していて、降格が決まったあとは世界が終わったかのような気持ちでいたので、あんまりはっきりとした記憶はないんですけど、いま考えると趣深いシーズンだったと思い返せます。

とくに大分銀行ドーム(当時は「九州石油ドーム」←なんか金持ってそうだな……)のロール芝がボロボロのベチョベチョ状態だったため、各クラブにけが人が続出して戦慄させていたのは恥ずかしい限りでした。(我が軍はそれ以上の野戦病院でしたが)

その際に「反クソ芝」論陣の最先鋒を担っていたのが、当時は浦和に所属していた現・京都のDF4田中。大分が14連敗している中で浦和に勝ってしまい、その後に浦和が7連敗していたさなか、「クソ芝のせいで●●●(局部)の上を肉離れした。普通はこんなところはけがをしない。もう大分で試合したくない」という旨の発言をしていたニュースを見て、「のんきかよ」と思ったのを覚えています。

それ以降、田中が大分銀行ドームに来るたびに、むだに下半身に注目してしまうのは私だけではないと思います。今節はそんな、京都戦です。

 

試合(実質的に、U-20日本代表壮行会)

思ってたんと違った序盤

序盤は大分がボールを握りつつも、スローペースで試合が進みます。要因は大分のゆったりとしたビルドアップに、京都が深追いしてこなかったことにありました。

京都ツートップのFW9オリス、FW4田中はハーフライン付近に陣取り、縦へのパスコースを切ってきました。そんななか、大分はMF33鈴木惇が最終ラインに入ってビルドアップに参加し、ストッパー2人を外に押し出します。

ところが京都のサイドハーフは運動量のあるMF22小屋松とMF13岩崎。ストッパーの開きを見つつ、ウイングバックが下がって受けるのもケアするような、中途半端な位置取りをしてきました。

すると、大分の選手は自陣で人数が余るようになり、なかなか前にボールを運べません。前線も動いてパスコースを作るような動きもしていましたが、なかなか精度を欠いて通すことができず。そこはFW27三平がいなかったのも大きかったかもしれません。

 

パワーでこじあけられ失点

停滞した試合では、中央を固めるしかなくなるのが定石。もっとも、そうなってしまえば、強さで上回るほうが勝ちます。

そうしてスコアが動いたのは15分、京都MF13岩崎が対面の大分MF29岩田智輝を駆け引きで外して、中央にクロスを放り込んだところが起点になりました。

ファーサイドに流れたクロスはFW9オリスが競って、こぼれてきたところにFW4田中が豪快なオーバーヘッド。そのままゴールに入るかと思われましたがポストに阻まれ、目の前に詰めていたMF22小屋松が押し込みました。

ここで「止められていれば」という機会は2つあったと思います。MF13岩崎にクロスを上げられた場面と、DF4田中のオーバーヘッドです。いずれにも詰めることができなかったのは、今季の課題が詰まっていると思います。

ボランチの選手が遅れたことを発端にサイドの選手が下がるしかなくなり、えぐられてからのクロスを上げられたところでセンターバックが下がり、ゴールに近いところで相手の思うようにプレーさせて押し込まれる――。今季の失点はこの形ばかりです。

 

主導権を握るが決定機はなし

先制こそされましたが、大分が試合を支配しているのは変わりません。

21分のFW18伊佐耕平が縦に抜けてからFW9後藤優介に落としたシーン、28分のMF33鈴木惇のマイナス気味の右CKをFW20小手川宏基が合わせたシーンなど、惜しいところもしばしばありました。

33分の左サイドでFW18伊佐がスペースを作ってFW20小手川に落とし、オーバーラップしてきたMF16山岸智を使ってリターンでFW20小手川という流れも、いかにも今季の大分という感じで悪くなかったと思います。

ただ、前述のようにビルドアップに人数をかけすぎていることに加え、すでに失点している焦りもあってか、決定機に至るような場面はありませんでした。

 

後半も狙いは改善されず、さらに失点

大分はハーフタイム明け、ここ数試合にわたり精細を欠いているMF29岩田に代えてMF17國分伸太郎を投入。昨季から続いている「後半は人が変わったように流動性が出てくる」ことをもくろみつつ、巻き返しを図ります。

ところが次の得点は再び京都に。またもや起点は左サイドのMF13岩崎でした。54分、カウンター気味に縦に抜けたところでボールを収め、代わったばかりの大分MF17國分を大きなターンで一気に突破。ファーサイドに鋭いクロスを送った先で、FW4田中がズドンと頭で押し込みました

これでFW4田中は6試合6得点。ゴール後にはアシストをしたMF13岩崎をコーナーフラッグまで呼び寄せ、スパイクを祝福するパフォーマンス。ニコニコした2人からは良い関係性がうかがえました。やっぱりMF13岩崎の人間力、半端じゃないよな……。

 

大分にも決定機、しかしスーパールーキーに散る

66分、大分はこの試合で初めてゴールマウスを脅かします。左足でフェイントを入れつつ右サイドを突破したMF17國分のクロスはFW18伊佐の頭にどんぴしゃ。惜しくも右に外れてしまいましたが、久しぶりのいい形でした。というかMF16山岸ではない人のクロスがちゃんと入るだけで驚く……。そのMF16山岸は70分、MF3黒木恭平と交代。

試合が決まったのは71分、京都に3点目が入ります。中央に絞ってきたMF13岩崎が大分陣内深くに入りながらボールを受け、突破するふりをしながら後方のMF5吉野恭平にパス。そこから出てきた鋭い浮き球を、MF13岩崎が難しい体勢のボレーシュートで決めました。

彼はとても、とても、すごい。サイドでのプレーをまっとうしながら、前線で君臨する王様にも貢献し、最後はストライカーとしての意地を見せるような得点。もう感嘆するしかありません。

 

焼け石に水ゴールとU-20世代の意地

大分は77分、MF33鈴木惇の右CKからクリアされたところを、FW20小手川がダイレクトで叩き込んで1点を返します。すでに策は尽きていて敗色濃厚ですが、こういう意地は後々に生きてくることでしょう。また、ここでFW20小手川に1点が出たのも良かった。

京都は78分、FW9オリスに代えてFW31大黒将志。元日本代表ツートップとします。相方のDF4田中はここから転倒モードに。久しぶりの大分銀行ドームの芝が愛おしくてたまらない様子で、何度も何度もピッチに寝そべって逢瀬を重ねます。憎らしいほどのプロフェッショナリティ。

大分は87分、FW18伊佐に代えてMF28坂井大将を投入。U-20日本代表のキャプテンがようやく今季初出場を迎えます。布陣は[5-3-2]に変わって、MF28坂井大はスリーセンターの一角に。目の前で代表の後輩である京都MF13岩崎の大活躍を見て、奮起しないはずがありません。

MF28坂井大はファーストプレーから、足元に入ったボールをダイレクトで前線に当てるなど、随所で技術の高さを見せて、攻撃のスピードアップに貢献していました。ここまで違和感なく入れるんだったら普通にメンバー入りしてもおかしくないんじゃないかと思えるほど、右でも左でもソツなくこなしたと思います。

京都はアディショナルタイム、MF22小屋松→MF20伊東俊、MF13岩崎→MF14仙頭啓矢を立て続けに投入し、試合を締めます。そのまま大分の攻撃は実らず、1-3で試合を終えました。

 

無策だった大分とタレントが生きた京都

大分はとにかく普段のプレーがハマりませんでした。[4-4-2]の相手にギャップを作りたいのに、前述のように4人でのビルドアップを続行。ほとんど有効な攻撃を打ち出せないまま、コンパクトに構えた京都の守備網を崩せませんでした。

前節・湘南戦の勝利は相手プレスをいなせたからこそでしたが、そもそも相手がプレスに来てくれたからこそです。さすがに10試合が経過してくると「来るか、来ないか」を臨機応変に繰り出してくるチームが大半だと思いますので、このあたりの基準なり意図なりを整理する必要があるでしょう。

一方、京都はタレントが大爆発でした。FW4田中(あえてこう呼ぶ!)は先制点につながったオーバーヘッドに加え、得意のファーサイドヘッドで得点も記録。金崎夢生の在籍時に何度も名古屋の試合に行っていましたが、その時のことを思い出してしまうような活躍でした。やっぱり「もしこの人が初めからフォワードで生きていく道を選んでいたら……」は、日本サッカーでも有数の“if”だと思います。

そしてなんといっても、この試合は背番号13番でしょう。京都橘高校から今季入団したばかりのMF13岩崎悠人は全得点に絡む活躍。初ゴールまで取っちゃいました。私もバーレーンでのU-19アジア選手権を始め、高校時代の試合や国内での代表合宿など、いろんなところで見てきて、「すごい、すごい」とは言っていましたが、自分の応援しているチームがここまでやられると感慨はひとしお。

とにかく「これからの日本を背負っていってくれ……」という思いしかありません。こいつならやれるでしょ。

 

最後に

そういえばサッカーに詳しい市議会議員(35)が解説をすると聞いていたんですが、そっちはそっちであとから見てみようと思います。両チームで1人しか居なかった「13番」を見て、どう思ったのかは純粋に気になります。

 

 

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晴天のビッグフラッグ、とてもきれいでした。