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たぶんサッカーの話が多いです。

今大会最高の名勝負、強いか弱いかよりもやる気の問題なんじゃないか説 ― EURO2016 Round16 Day3

EUROを毎日のように見ているとなぜか音楽が聞きたくなり、移動中はApple Musicで大森靖子のTOKYO BLACK HOLEばかり聴いている。マジックミラーと給食当番制反対、少女漫画少年漫画が好き。ミッドナイト清純異性交遊と呪いは水色以来のヒット。

一方、EUROのほうはあまりの名勝負に興奮しすぎて仮眠が過眠になり、奇跡の2試合目は見られなかった。あとから録画でみたが歴史的瞬間をリアルタイムで体験できなかったのは心残り。それでも新伝統の一戦ともいうべき1試合目の名勝負は今大会最高といっても過言ではないエンターテインメントだった。

 

・イタリア×スペイン

前回大会決勝カードがまさかのラウンド16で実現。決勝では思わぬ大差が付いてしまったがグループステージでの熱戦は印象深く、間違いなく熱い試合になるだろうと思っていたがまさにその通りとなった。

戦前の予想とはまったく異なり、序盤から圧倒したのはイタリア。ペッレ、エデル、ジャッケリーニの3枚がスペインのビルドアップを許さず、カウンター攻撃やそこから得たセットプレーから勇猛果敢に攻め立てる。均衡が破れたもその流れ。ゴール前20メートル強からのエデルの弾丸FKはGKがセーズできず、こぼれ球をジャッケリーニがつぶれたところでキエッリーニがプッシュした。誰が見ても「アンチフットボール」とは言いがたい“正当”な先制点だ。

ハーフタイムでアドゥリスを投入したスペインは、中央で受けるイニエスタからの展開でイタリアのプレスをかわして反撃にかかる。徐々に押しこむ流れで最大の決定機をようやく得たのは後半終了間際。セットプレーのロングボールをイタリアDFがクリアミスし、落ちたきたところをピケが足を伸ばして押し込みにかかる。ところがブッフォンが片手一本でブロック。ビッグプレーだった。

その後もセットプレーで押し込むスペインだったがイタリアのお家芸が炸裂。左を抜けたカウンターから右のダルミアンに大きく展開し、クロスがこぼれたところに入ったペッレのボレーが突き刺さった。そのまま2-0で試合終了。2連覇中のスペインがベスト16で姿を消すことになった。

イタリアはスペインのビルドアップをハイラインで分断することに成功したのが戦術的な勝因。後半からはプレスをいなされることも多くなったが、密集地をハーフラインと最終ラインという要所で作って決定的なパスを通させなかった。スペインの密集プレスも二足の間を上手に抜けてドリブルできる能力を発揮。守備組織を破るための訓練はあの国にいれば手慣れたものか。

しかしながら、戦術以上に大きな要素は終始ハイテンションな雰囲気を持続できていることだとも思う。短期決戦は集中力とモチベーションの持続がカギ。キャプテンのブッフォンに影響されてのものか、試合前の国歌からプレーヤーだけでなくサポーターが凄まじい声量で盛り上げ、その熱気がピッチ上のプレーヤーにもしっかり波及している。きわどい判定に対する必死かつコミカルな抗議も見モノ。なにより勝利後のセレブレーションは優勝したのかと見間違うような喜びようだった。まだまだこのチームを見ていたい。

スペインは、まあ、仲良くしよう。能力的にはうまくてもチームワークの方向性がはっきりせず、アツい主人公チームに敗れる引き立て役はスポーツ漫画でよく見る光景だった。

イタリアの次戦はドイツ。まずはどんな戦いを見せてくれるか楽しみ。パスの受け手の多い相手には大量失点もあり得ると思われるが、難しい試合をモノにできる雰囲気は持っているはず。期待。

 

イングランド×アイスランド

アイスランドがまさかの大金星。大分市より人口の少ない国がサッカーの母国に勝った。ルーニーのPKで先制したイングランドだったが、次のプレーでグンナルソンのロングスローからラグナル・シグルズソンが押し込んで同点。15分後には縦、横、縦の華麗なパスワークからギルフィ・シグルズソンがGKに触れられつつも決めた。その後は4-4の密着したツーラインで危険なシーンを作られず、試合をしっかりと締めた。

アイスランドの強みはフィジカルと割り切り。後ろ向きの味方に預けるようなプレーは極力避けて、いかに良い体勢でボールを受けるかに注力しているように見える。多くの選手が1対1では並以上のパワーを持っているため、たとえ相手にボールを与えてしまっても必死でキープする必要があるため素早い攻撃には至らなかった。また中盤サイドにスペースの空きやすいイングランドに対してはかみ合わせによる相性もよかったか。

イングランドはとにかくアイデア不足。機動力のないケイン、ルーニーという二枚看板を抱えているため、相手のペースに持ち込まれたときにプレーに幅を出すことができなかった。デレ・アリやウィルシャーのようなオールラウンダーで組み立て、ヴァーディーやスターリングで押し込むような形に持ち込めればよかったはずが……。相変わらずトップレベルでのケインの良さを理解することができない大会だった。

アイスランドサポーターはこの日も全開。実況と解説が「イングランド!」と聞き違えるような「イスランド!」の大合唱で、轟音を放つリズム手拍子も健在だった。試合後の荘厳なセレブレーションは流行りそう。

 


Iceland players and fans celebrate win over England with amazing Viking chant

 

首都・レイキャビクも大盛り上がり。


Iceland football fans celebrating in downtown Reykjavik after their team wins against England

次戦はフランス。開催国といってもこのサポーターが付いていればアウェイ感は感じずにすむだろうし、組織力で戦うタイプじゃないのも後押ししそう。余談だがWikipediaを見ると再生可能エネルギーのみで国内の電力供給をまかなっている(水力8割、地熱2割)らしく、大分県民的にはがぜん関心が湧いてきた。商業捕鯨も行っており、EUには不参加。とんがっている。

 

いよいよ残すところは8試合。これからは1日1試合なのであまり無理せずに見られそうでうれしい。