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たぶんサッカーの話が多いです。

天皇杯2回戦 サガン鳥栖×ヴェルスパ大分(15.09.05)

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毎日のように水色とピンクのユニフォームに身を包んだ二次元アイドルの画像を見せられ続けるとさすがにベアスタ欲が高まってきて、どうも久留米ラーメンを食べたい気もしたので佐賀県鳥栖市へ。立ち寄ったアウトレット周辺の新興廃墟感が素晴らしい。土地は高そうなのに競争率が高そうな雰囲気はまったくなく、自意識にすべての欲求を委ねる松浦弥太郎的フィロソフィーを感じた。

 

メンバー

サガン鳥栖

GK 33 林彰洋
DF 15 丹羽竜平
DF 36 菊地直哉
DF 5 キムミンヒョク
DF 16 崔誠根
MF 8 水沼宏太
MF 14 藤田直之
MF 29 谷口博之
MF 28 高橋義希
FW 25 早坂良太
FW 11 豊田陽平

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GK 1 赤星拓
DF 23 吉田豊
DF 4 小林久晃
MF 24 鎌田大地
MF 6 岡本知剛
MF 9 白星東
FW 39 岡田翔平

ヴェルスパ大分

GK 1 姫野昂志
DF 23 森永玲央
DF 16 福元考佑
DF 29 清水大輔
MF 26 長谷川豊喜
MF 6 福島新太
MF 7 原一生
MF 2 大迫希
MF 14 楠美圭史
MF 11 岡崎和也
FW 24 木島悠

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GK 31 北里仁
DF 3 土遠修平
DF 33 二戸将
MF 22 甲斐拓也
MF 25 中島大輝
MF 8 河野諒祐
FW 18 中村真人

 

どちらもほぼベストメンバー。鳥栖はがっつり落としてくるんじゃないかと期待していたが、御前試合を前に手を抜かず。負傷明けとなった豊田との連携を万全に高めてから、翌週に控えた運命の「スターライ☆鳥栖☆ステージ」初戦に臨む構えか。

 

フォーメーション

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双方ともに3バック。鳥栖は左右対称ではなく、攻めるときは左で作る[4-2-3-1]に近い形。ヴェルスパ大分は奇しくも敵将・森下仁志が磐田時代に採用していた[3-1-4-2]で華々しくぶちかます所存。

 

試合

天皇杯なので客入りは微妙。「正直田舎者」との横断幕を掲げる鳥栖ゴール裏約1000人の対面には、面積は4倍以上も人口では鳥栖市の半分にも満たない大分県由布市をホームタウンとするヴェルスパサポーター20人あまり。日本有数の観光地・湯布院を擁する由布市であるが、クラブ事務所は温泉旅館が立ち並ぶ旧湯布院町ではなく旧挾間町にあるので「明らかに何もないド田舎!!!!」といった趣である。それでもサッカー専用スタジアムのここベアスタでは歌声と太鼓がしっかり響いていた。

序盤は鳥栖ワンサイドゲーム。3分にFW11豊田がクロスを頭で合わせて決定機を作ったのを皮切りに、MF16チェやMF8水沼がサイドからロングボールを配給しつつゴールを伺う。一方のV大分はシンプルに前線のFW24木島に当てるも屈強なDF陣に阻まれ前を向けない。守備時に鳥栖のMF8水沼がFW11豊田に「(プレスに)行けよ!行けよ!」と叫んでいたが、いやはやこれはの子(神聖かまってちゃん)か水沼宏太かという形相で、アマチュア相手でも普段と変わらぬ熱さが出ていたのに感心した。

徐々に鳥栖のボディコンタクトに慣れてきたV大分は20分、MF14楠美、FW24木島の元Jリーガーコンビで局面を打開し、左サイドに開いたMF7原にパス。初めて敵陣のスペースを駆け上がってクロスを上げたが、相手DFに難なく弾き返され単発に終わる。これが前半最大のチャンス。双方の布陣がほぼ噛み合っているので、マンツーマンから逃げるためには引くしかない状況となっておりとても苦しい。

鳥栖は15分すぎまでは単純なクロスを弾かれる場面が続いたが、徐々に後方からのロングボールで起点を作る場面が出てくる。すると横からのボールには踏ん張っていたV大分の選手もさすがにJ1クラスの砲台性能には慣れていないのか、目測を誤って競り負ける(というかほとんど競れない)シーンが多発する。24分、ロングボールから裏抜けを試みたMF8水沼に最終ラインが対応できず、入れ替わろうとしたところを後ろからDF23森永が引き倒してゴールほぼ正面30メートルで鳥栖がFKを獲得した。

キッカーはMF14藤田。右サイドのゴールエリア角にふわりとしたボールを出すと、長身ハイジャンプのMF29谷口が頭で合わせる。ミートは弱かったが勢いを失わなかったボールはGK1姫野の上を越えて行き、ふわりとファーのゴールネットにイン。25分、お家芸のセットプレーから鳥栖が先制点を獲得した。V大分のGK1姫野は身長177センチだが、屈強な鳥栖選手陣の前ではさらに小柄に見える。JFLの舞台でもハイボールに不安を抱えるが、やはり抜け目ないJ1の相手はそのスキを許してくれなかった。

その後もV大分の守備陣は鳥栖のロングボールに対応できない。ミドルシュートや角度を付けた位置からのハイボールに苦しめられ続けていた38分、今度は落下位置を誤った選手がジャンプ中のFW11豊田にぶつかり鳥栖にFKを与えてしまう。またか。ゴール前25メートルの位置でキッカーはMF8水沼。強く振りぬいた右足から放たれたボールは低めの壁を超えて右上スミへ。これにもGK1姫野は触れることができず、39分、鳥栖が追加点を奪った。43分にもMF14藤田の左CKにGK1姫野がパンチングをミスし、こぼれたボールに反応したFW11豊田が左足ボレーで叩き込む。鳥栖が3-0でリードのまま、試合を折り返した。

前半のV大分は完全に無策。ウイングバックがサイドに大きく張り出して相手のスペースを広げ、中央の3枚で細かく崩していきたいという狙いは分かる。しかしきれいに噛み合った鳥栖のダブルボランチに詰められるとシャドーは前を向けず、最終ラインやアンカーから苦し紛れに前線にボールを配給しても上背のない2トップには収まらない。おそらくJFLではどこかで相手を外すことができるため、広大なスペースを利用して中央のパスワークで普通に前進できているのだろう。しかしこのレベルになるとFW24木島の圧倒的なスピードを活かすなど、別の施策が必要だと思われる。もっとも、変なことをやって負けるなら、普段のプレーを出しきったほうが後悔をしないという考え方もある。そういうところも含めて、よくある天皇杯の光景なのだろう。

後半の交代はなし。ところがV大分は少しばかり勢いが出てきた。FW24木島が裏に抜ける動きを見せるだけでなく、MF11岡崎がたいへんよく走り回る。鳥栖の最終ラインに不用意にプレスに行くのをやめたことで布陣が圧縮され、鳥栖が距離感を掴み損ねたのも相まって徐々に勢いを持ち始めた。もっともV大分のCKで鳥栖は全員を自陣に戻すなど凄まじい塩対応。GK33林がキャッチするやいなやMF8水沼とMF14藤田が前線に猛ダッシュし、あわや高校生のようなカウンターが成立してしまうところだった。さすがクラブを上げて都市部の他業界に広告営業しているだけあって抜け目ない。

鳥栖は 54分にDF15丹羽→DF23吉田豊、58分にFW11豊田→MF24鎌田大地の交代を敢行。トップ下に入ったMF24鎌田は出てきて即ボールを受けてドリブルでゴール前に侵入するなど、不安定な上半身から繰り出す読めない突破が効いていた。守備ではさまざまな声から「だいちー!」と言われており、こっちはまだまだ伸びしろたっぷりの様子。72分にはプレスバックしなかったところから中盤に起点を作られ、V大分のFW24木島に裏抜け1本で決定機を作られて危ないことになっていた。

鳥栖は76分にMF8水沼→FW39岡田翔平。MF8水沼は声もよく出すし、よく走るし、ボールも収まるし、MOM級の働き。前回ベアスタに来た湘南戦でも美しいループシュートを決めていたので、1週間後には女性声優の前でも変わらぬ活躍を期待したい。78分にはMF14藤田の右CKから再びMF29谷口の頭で鳥栖が4点目。すべてセットプレーという1部げない感じでだめ押した。

V大分はようやく80分から選手交代に着手。MF11岡崎→FW18中村真人中村俊輔似の長身)、FW24木島→MF25中島大輝(公式サイトの自己アピールが超右下がりで不安になるイケメン)、MF14楠美→DF33二戸将(名字の読みは「にと」)。羅列してみたが特に何かが起こるわけでもなく、DF33二戸の顔の上げ方がいいなあ、それより鳥栖のFW39岡田の低重心走りが湘南っぽさすげえ……みたいなことを考えていたら試合終了。鳥栖が3回戦に進出を決めた。

 

途中からは知人と観戦していたのだが、ベアスタにいたく感動した様子で誘ったかいがあった。「来週は元大分監督の田坂さんが来るよ!」とアピールしていたが、スマートフォン鳥栖のサイトを見せた瞬間に二次元アイドルの画像が表示されて狙いがバレた。というわけで、また来ます。

 

 

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鳥栖市は自転の周期が違うらしい。さすがJ1。大丈夫か。