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たぶんサッカーの話が多いです。

九州クラブユース選手権U-15 ラウンド16(15.07.11)

・VALENTIA(佐賀)0-2 カティオーラFC(大分)

コンパクトな布陣からサイドを広く使う[4-1-4-1]のカティオーラに対し、中央をしっかり固める[4-3-1-2]のVALENTIAという構図。中盤サイドの広大なスペースをカティオーラのアタッカーに明け渡す形となったため、VALENTIAは攻撃に出ることが難しく防戦一方となった。

カティオーラの攻撃の中心は左右のサイドバックができるFW11後藤滉稀。小柄なわりに競り合いが強く、攻守に堅い働きができる。そのうえ運動量に下支えされたドリブルとランニングも良いものを持っており、サイドはほとんど彼の独壇場だった。シャドーに入ったMF10後藤舜稀とは双子。ターンが素早くパンチ力もある。途中から出てきたFW20佐藤天青も混戦で顔を上げられるいい選手。アンカーのMF6友成司はスピードを調整してリズムを作る能力があり、高レベルの相手でもこの水準を保てるならスーパー。

VALENTIAはDF3川副知樹が守備の要。ワンサイドゲームに近い展開で2点で抑えられたのは彼のおかげか。ヘディングでしっかり跳ね返すことができ、シュートブロックも的確。180センチ近い身長もあるので今後に期待。攻撃の基点はインサイドハーフのFW8高椋慶助。50:50の状況に強く、ボールを奪われないスキルがあった。

カティオーラは個人能力が高いのはもちろん、チームとしてもまとまった印象を受けた。中学生の[4-1-4-1]でここまでできれば上出来。

 

・ソレッソ熊本(熊本) 0-3 FC BRISTOL(長崎)

ボランチ分業風で中心選手にボールを預ける[4-4-2]のソレッソに対し、バルセロナ風[4-3-3]のBRISTOL。ソレッソの個人能力優先の守備網をサイドと中央の出し入れとドリブル突破で序盤から圧倒したBRISTOLの完勝。想像していた結果とは真逆で驚いた。

BRISTOLは元広島の大久保誠監督が2009年に地元で立ち上げた街クラブ。それまでは名古屋のU12を担当していたらしい。スタイルはいわゆる「吉武ジャパン」。DF4宇多田健斗が偽9番の位置に入り、手前に引いたりサイドに流れたりしたところで両ウイングのFW7中西渉真とFW11柴田豊輝が斜めに突破。フロントボランチのMF9柴原隆真とMF10岡野凛平もポジションチェンジを繰り返しながら、相手の間隙や最終ラインの裏を狙っていく。小柄な選手が多いので運動量は必要となるが、気温が低かったせいか最後まで走りぬいた。

ソレッソは伝統のエースナンバーを付けたMF14深田響生が攻撃の中心……のはずが、思った以上に攻めがサイドで単調に完結してしまっていた。FW10駒木秀人は前半早々に懲罰的交代。残念な形で大会を終えた。組織だった守備がルーズになる場面も多く、相手のノッキングした中央突破以外はピンチが多発した。強豪にとっては「こんなはずじゃ」という試合だっただろう。

BRISTOLは今大会最大のサプライズだった。九州はドリブラーが多いように思うけど、これほど前線に個性を集め、それをチームとしてまとめ上げたクラブはない。準々決勝のアビスパ福岡戦にも期待が持てる。

 

ギラヴァンツ北九州(福岡) 1-5 アビスパ福岡U-15(福岡)

大都市のクラブユースらしい才能集団が[4-4-1-1]で素早いトランジションを繰り返すアビスパに、身体能力とファイティングスピリットで戦う[4-4-1-1]のギラヴァンツが挑んだ福岡県ダービー。後半途中までしか見られなかったが、アビスパの強さが際立った試合になった。

アビスパの攻撃は左サイドの縦ラインが中心。左サイドMF10北島祐二にボールが入ると、外から猛ダッシュをかける左SBのDF19桑原海人にパスが出る。トップチームの光永祐也を彷彿とさせる攻め上がりから繰り出すクロスは鋭く、フリーランニングもしっかりこなせる。逸材ぞろいのチーム内でも明らかに目立った素材だった。ただでさえ中央の圧力はしっかりしたチームなので、サイドにこういった槍があると強い。そして先制点がセットプレーから入ったのも見どころ。精度の高いFW11庄司一輝のCKからDF22篠田憲政の頭という形。全体的にヘディングの重心調整が上手だったのもあり、とにかくしっかり鍛えられたチームだなという印象。

ギラヴァンツは素材感あふれるワントップのMF7稲田千寛と右サイドのFW11松下大将が中心。形を作るというよりは裏に抜け出したところから個人技でディフェンスを切り裂き、シュートに行くかサポートの味方を使うかという方針らしい。アビスパには通用しなかったがこの身体能力で他のクラブを下してきたということはよく分かる。そして何よりこの投げっぱなし感が“北九州”っぽかった……。

 

他会場の結果も含め、12日の準々決勝は以下の通り。

09:30~ 大分トリニータ×カティオーラFC

11:30~ FC BRISTOL×アビスパ福岡

13:30~ アミーゴス鹿児島×ブレイズ熊本

15:30~ 小倉南FC×サガン鳥栖