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たぶんサッカーの話が多いです。

【天皇杯3回戦 柏×大分】中村、中谷、中山の三元牌を破れず、強烈な個の2失点にチグハグな交代策

お久しぶりです。しばらく間が空きました。

韓国で若い子たちの試合を見ていたせいで、地元のチームを追いかけるのがおろそかになっていました。キーボードに触れるのが久しぶりなのでお手柔らかに。(初めはスタバで書いてたんですが、後ろにある選手がいて緊張しました)

 

因縁の柏レイソルというか、18年前のアレ。

この試合の相手は、J1上位の柏レイソル。2009年に一緒にJ2に落ちたはずなのに、次の年には即裏切ってダントツ首位で昇格し、さらに翌年はJ1優勝まで成し遂げてしまった、あの観客席がにぎやかな黄色いクラブです。(お隣のソーセージが美味しくて2部でずっと待ってくれてるほうではありません)

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平日ですが、かなりの人数が集まっています。大分銀行ドームは無駄に広く作られているのでこんな感じですが、きっと日立台を埋め尽くすほどの人数です。「柏から世界へ」の横断幕も輝かしい。せっかくだしうちも「大分から政界へ」って感じで出したいところです????

そんな柏レイソルですが、昨季途中から元U-18監督の下平隆宏監督(片野坂知宏監督と同い年で高校選手権時代に対戦経験あり)が指揮を取っており、アカデミー育ち中心のチーム編成に舵を切っています。先発に最大8人を並べるほどの血の濃さは、ようやくクラブに10人を集めたくらいの大分とは比べ物になりません。

そして柏アカデミーといえば、そう。トリニータにとっても因縁深い吉田達磨氏ですね。私は柏U-18出身選手を見ると背後に吉田達磨氏の幻影が見えるという病気なんですが、それは18年前のフリーキックを生で見たようなオールドファンからすると普通に鳥肌ものだと思います。

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この試合は、アンカーにユース出身の手塚康平ではなく元日本代表の細貝萌が入っているので「7達磨」になりました。格下との天皇杯ではありますが、週末の試合がないのでターンオーバーはほぼありません。話によるとC大阪戦のアウェイからそのまま大分入りした模様。旅人かよ。

一方の大分はアカデミー卒が3人。前節から中3日、次節まで中3日なので、先発は一新されています。脊髄反射で「若手主体」と言いたいところですが、普段よりも平均年齢は高くなっています。30代が4人とかいつぶりだろう……。

 

序盤から大分が優勢に

J1クラブがレギュラーメンバー、J2クラブがセカンドチームということで、かなりの力の差があると思われましたが、前半からペースを握ったのは格下の大分トリニータでした。

スイッチを入れたのはMF17國分伸太郎。相手のボールホルダーにどんどん圧力をかけ、突破からのクロスで両チーム通じて最初のチャンスを作りました。こういう試合では立ち上がりが大切なので、まずは引かない姿勢を見せてくれたことが良かったと思います。

ポゼッションの起点はDF2山口貴弘とMF32前田凌佑が中心。普段の主力組と同じようにウイングバックにボールを出し入れしながら、逆サイドに大きく展開する機会をうかがいます。なかなか精度の高いボールは出ませんでしたが、うまくMF17國分とMF28坂井大将に入ったシーンでは、相手を敵陣深くまで押し込むことができていました。

一方、序盤の柏のチャンスはFW9クリスティアーノがGK1修行智仁にスライディングでボールを奪おうとした場面のみで、そこで得たコーナーキックも精度を欠いて決まりません。前線の3トップ(途中からFW19中川寛斗が中盤に下りていたので2トップ)が完全に孤立した形となり、ダブルセンターバックにアンカーのMF37細貝萌を加えたビルドアップもうまく大分ブロックをはがせない状態が続きました。

大分は30分ごろから立て続けに日本代表GK23中村航輔を脅かす場面を作ります。しかしながら左CKをショートで受けたMF24姫野宥弥のファーシュートは手をかすめてポストに阻まれ、MF3黒木からのクロスに反応したMF17國分のヘッドは枠外へ。MF28坂井大のよく抑えたミドルシュートは横っ飛びで弾き出されました。危ない雰囲気を見せないところがさすが代表選手です。

柏は前半終了間際、サイドに開いたFW9クリスティアーノの単独突破に活路を見い出し、高速クロスから大分の守備陣を圧倒しようと試みます。それでもDF2山口貴弘とDF35坂井達弥が危なっかしくもはじき返し、カウンター気味に抜け出された危険なシーンでは、自陣まで戻ってきたMF28坂井大がダイビングヘッドでクリアしました。クロスが流れて左サイドに開いたMF8武富孝介に届いた場面では、落としのパスを受けたDF22輪湖直樹のシュートが枠を外れて助かりました。

 

勝負の後半……へ進む前に

個人的な後半のテーマは「柏がどこでスイッチを入れてくるか」ということでしたが、柏イレブンがこちら側のエンドで円陣を組んでいた時に、あることに気付いて動揺してしまいました。 

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待つ。

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さらに待つ。

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最後!!!!!!みたいな。

なんなんですかこれ!!!!

 

たしかに、

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ユース時代から、

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仲良しかよって思ってたんですが、

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なんなんですか。(なぜかユース時代の写真はめっちゃ撮ってる)

いや、なんかすごく良かったので。応援しています。はい。

 

気を取り直して後半

後半の立ち上がりも大分の勢いが勝りました。前線でボールを受けたMF28坂井大がMF3黒木にトリッキーなパスを送ったプレーは惜しくも流れてしまいましたが、直後にMF28坂井大はGK1修行からのロングボールを空中で華麗にトラップ。すぐに前を向いてFW18伊佐耕平に出した場面は、このチームで出せる個性の一端を感じさせました。

一方、前半は中途半端な位置取りだった柏ですが、後半は明確な[4-4-2]で大分のギャップを突いてきたように見えます。ビルドアップでMF37細貝が最終ラインに入ってくる場面は少なく、中盤の人数を増やしてボールを保持。そこからシステマチックな攻撃があるわけではないんですが、ゴールに近いだけあってFW9クリスティアーノの勢いも増してきます。

そんな54分、両者とも構えた陣形から柏のスコアが動きます。ビルドアップのボールを受けたMF7大谷秀和が、振り向きざまに中央を締めた大分の最終ライン裏を突いたロングパス。これにただ一人で反応したFW9クリスティアーノがフリーで受けて、飛び込んできたGK1修行をかわして左足で叩き込みました。大分は完璧にラインブレイクされた形。

そしてさらに大分が勢いを強めた60分、ロングカウンターから柏が追加点を決めます。柏守備陣を押し込んだ状態で右サイドをDF8黄誠秀が駆け上がり、ペナルティーエリア内のMF17國分にスルーパス。受けた時にはフリーでしたが、マイナスのパスをMF32前田に送ったところで奪われ、柏のカウンターを受ける形に。

そこで飛び出したのはこぼれ球を拾って前を向いたFW11ディエゴ・オリヴェイラ。なんとか追いかけながらスライディングをしかけたDF2山口の足はわずかに届かず、誰もいないのでGKとの1対1を迎えます。さすがにGK1修行もなすすべなく、角度のない左側から決定的とも言える2点目が入りました。

 2点とも単純な抜かれ方というか、圧倒的な個人技というか、どっちの捉え方もできる流れでしたが、間違いなく言えるのは、J2では珍しいタイプの失点でした。一瞬のスキを突いてくる集中力というか、「こういうところを決めるのが力の差」といったところなのだろうと思います。

 

試合は完全に停滞、そしてエースの退場

ここで片野坂監督はMF28坂井大に代えてFW9後藤優介、DF35坂井達に代えてDF6福森直也を投入。この2人は悪くなかったように感じましたが、2点を追うために不要ということなのでしょうか……。一方の柏はFW11ディエゴ・オリヴェイラに代えてFW14伊東純也を入れました。 

用兵以外の理由ははっきりしませんが、これを機に試合は停滞します。柏がボールを握る形になり、 大分は奪いどころを見極められず。たまにポゼッションできても、前線の動きがチグハグでつながりません。選手同士がお互いにいらいらを表現するような姿も見られました。70分にMF16山岸智→FW30吉平翼で、MF17國分を右に回しても変わらず。

柏はゆったりとボールをつなぎながら、大分のプレス待ちをするだけ。DF5中山→DF2鎌田次郎、FW19中川寛斗→MF10大津祐樹で疲労のありそうな選手を休ませていきます。大分のチャンスは右で崩したあとにFW30吉平が放ったボレーのみ。枠外でした。

アディショナルタイム3分が表示された直後、事件が起こります。大分のFW9後藤が縦パスを収め、相手がクリアしにくい腰の位置で浮かせたままドリブルするお得意のプレーを始めた時でした。

スリータッチ目で進路に入ってきたDF13小池の腰か腿あたりに、FW9後藤の上げた足が接触。そもそもどの程度の当たり方だったのかはゴール裏から見えませんでしたが、ファウルへの抗議もむなしくFW9後藤にレッドカードが提示されました。

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最近、試合中に熱くなる姿がよく見られる片野坂監督も猛抗議。余談ですが、右上の白いパンツは下平監督です。珍しいファッションなので目立っていました。

試合はざわざわした雰囲気が残るまま終了。これで天皇杯は敗退となったため、FW9後藤はリーグ次節・愛媛戦に出場できないことになりました。

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片野坂監督は試合後も「こうやって蹴ったんだからファウルじゃないよ。だからカードじゃないよ」と実演をまじえた抗議を続行。私は「あっ、手前の副審、前田俊介あっちょんぶりけされた人だ……」と懐かしい気持ちにひたっていました。

 

試合を振り返って

ターニングポイントは2失点目直後の二枚替えだったと思います。理由は分かりませんが、FW18伊佐のもとで長所を出せていたMF28坂井大を代えたことによって、攻撃のリズムが一変してしまいました。代わりに出てきたFW9後藤も周囲とコミュニケーションが取れておらず、要求を強めながら孤立しがちでした。このあたりは主力組とサブ組の断絶も感じます。

普段の報道で「サブ組が弱い」ということを強調している指揮官ではありますが、ここまで固定した陣容で戦ってきているので、そうなることはある程度、必然でしょう。

要求どおりの判断を伴うプレーができないことはあっても、この試合の前半で「使えない選手」でないことは示されたはず。消耗の激しい夏場に向けて、どのように彼らを組み込んでいくかが試されています。

あとは

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黄色の4番と

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5番がいい選手でした。(まだ言う)

 

そして、

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青の30番と

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24番のハードワークが見られたのも良かったです。

無職期間も残り少なくなってきたので愛媛にも行きます。