【U-20W杯】立ち上がりにびっくり2失点も、新エースのドッピエッタで談合成立
U-20ワールドカップ8日目は、天安陸上競技場。
日本代表にとって、ここで勝負を終えるのか、これからも挑戦を続けられるのかが決まる運命の第3戦です。前日の試合があった済州島から半島中部の天安まで、はるばる飛行機と列車を乗り継いで行きました。
帰りたくないスムニダ〜〜。(窓が汚いのにきれい!すごい!) pic.twitter.com/KPijg8AIU5
— catena (@catenazioni) May 27, 2017
天安競技場については2日前にも来ていたのでこちらで。
ザンビア×コスタリカ
日本の試合を見る前に、第1試合を観戦。グループリーグ1~2戦が済州送りとなっていたせいで、ここまで唯一見られていなかったC組の一戦です。(結局、ポルトガルとイランは見られませんでした)
ザンビアはここまで2連勝の勝ち点6、一方のコスタリカはイランに引き分けたのみの勝ち点1。前者は突破を決めているためお休みムードで、後者は勝利が義務付けられたため本気という構図となります。
この日も現地の児童・生徒が動員。ザンビアの応援では「レッツゴー!ザンビア!レッツゴー!」と、さいたま市北部のチームを彷彿とさせるリズムが鳴り響いていました。これは何かの暗示だったのか……。(この日、監督の退任が発表されました)
試合はスローペースでスタートも、14分にコスタリカが相手ホールディングでPKゲット。FW9ダリーの正面キックはGKに阻まれましたが、再び拾って右隅に転がしました。これで「勝たなければならないチーム」が先手を取ります。
一方のザンビアはリスクは負わずとも、屈強なフィジカルとスピードで、[5-3-2]で守るコスタリカ守備網を圧倒。それでもパスやシュートの精度がきわめて低く、決定的な場面をなかなか作れません。
このままではコスタリカが勝ち点4となって、3位通過での突破がほぼ決定。「日本もこのグループだったらよかったのに」。そんな声も漏れ聞こえてきました。
後半にもコスタリカが再びPKを獲得しますが、トップ下のMF11レアルがポストに当ててしまい、跳ね返りを拾ったFW9ダリ―のシュートはGKがストップ。徐々にザンビアに向かい風が吹いてきています。
終盤、ザンビアはゴール前への執拗な放り込みから、ディフェンスもフォワードも関係なくシュート攻勢を続ける流れ。そんな89分、ザンビアにこの日、最大のチャンスが訪れました。ワントップに入っていたFW20ダカが放ったシュートにGKが反応しましたが、レフェリーは長いホイッスルしてセンターサークルを指示。劇的な同点ゴールです!
……ところが、ビジョンには「VAR」(ビデオ判定)の文字が表示され、試合はそこでストップ。ここで引き分けで終われば3位ラインが勝ち点3となるため、日本サポーターは得点が認められることを願いましたが、ノーゴールでフリーキックからの再開となりました。オフサイドがあったようです。
試合はそのまま1-0で終了。勝ち点4としたコスタリカが3位通過に大きく前進しました。(結局、3位でのトーナメント進出が決まりました)
日本×イタリア
いよいよ、運命の一戦。
試合が土曜日にあったということで、これまででも最大規模のサポーターが集結。トーナメント進出を後押しします。
われらがキャプテン、坂井大将の横断幕も3枚ほど出ていました。先発ではありませんでしたが、ウルグアイ戦と同様にビハインドになれば起用の可能性が出てきます。
ここまでの経過を整理すると、日本とイタリアはお互いに1勝1敗の「勝ち点3」。勝ち点6のウルグアイが南アフリカに勝利、もしくは引き分けることを前提にすれば、勝って勝ち点3を加えたほうがグループステージ突破を決められる2位になるという試合です。
もっともこの試合では「2位通過」ではなく「決勝トーナメント進出」が主なゴール。もし、引き分けの場合は得失点差でイタリアが2位、日本が3位になりますが、両方がトーナメント進出する可能性もあります。というのも「各グループ3位のなかから4チームが決勝トーナメントに進むことができる」というルールがあるためです。
前日の試合で3位を確定させているアルゼンチンが勝ち点3であることなどを考慮すれば、「勝ち点4」というのは「3位通過」の安全圏。すなわち、日本は引き分け以上で突破を決められるという心構えで試合に臨みます。
ただし、そこで生じてくるのは、「いつ引き分けに持ち込むか」という駆け引き。イタリアは勝っても引き分けても結果は変わらないため、「最初から引き分け狙いに応じてくれるんじゃないか」という甘い考えも出てきます。実際、そのあたりが試合の流れを難しくしてしまいました。
引き分けを意識しながら様子見ペースで入った日本の狙いもむなしく、イタリアは「八百長と思われたら大変だ」とばかりに序盤から全力モード。前半3分、日本の最終ラインの連係ミスを突かれ、FW9ファヴィッリの弾丸クロスに反応したFW7オルソリーニがボレーで先制。7分にも、変則的なFKに抜け出したMF17パニーコが難しい角度からのシュートを決めました。
驚いた日本側が「思ったよりガンガン来たな」と思ったのはつかの間、気付けば2失点を喫してしまっていたという印象です。しかし、いま振り返ってみれば、イタリアの前傾姿勢にも納得感があります。人数をかけて攻めるわけではなく、本気感を出すことが大切だったのです。単に準備不足だった日本側が「勝手に崩れてしまった」というのが向こうの本音でしょう。
もっとも、イタリアのこのような出方を予想できていた人は、日本側にそれほど多くなかったはず。そんなところにも「国際経験不足」という言葉が頭をよぎってしまいます。しかし逆に言えば、経験不足を感じられるのは経験を積んだからこそ。この経験をU-20の舞台で積み上げられた、というのは今後に生きてくる財産になるでしょう。
そうやった割り切ったかどうかはよく分かりませんが、このまま終わっていられない日本も反撃を開始。苦しい時間が続いてはいましたが、徐々に流れを回復していき、22分にスーパーゴールが飛び出します。左サイドからのファークロスに飛び込んだMF7堂安律のダイレクトボレーでした。
「後半に久保が入れば流れが変わる。それまでは耐える時間だ!」とか思ってすみませんでした!!!!
1-2でハーフタイムに入りましたが、前半のうちに冷静さを取り戻すきっかけになったこのゴールは大きかったと思います。
ハーフタイムの大ちゃん情報です。ビブスが童顔とあいまってFIFA謹製よだれかけみたいな感じになっているというのは禁句です。
後半は日本ペース。ノリノリのMF7堂安がイタリアMF17パニーコにイエローカードを出させるなど、相手にとって危険なプレーを繰り返します。
FW20久保建英も準備万端。いよいよ、投入からの同点弾が視野に入ってきました。ところが……。
この日の主役はMF7堂安でした。右サイドで縦パスを受けると、ゴールしか見えていないかのようなドリブル突破。ゾーンで守る相手ディフェンスの間をぬってペナルティーエリアに侵入すると、4人抜きからGKの動きを見てソフトタッチ。ボールはそのままゴールマウスへと転がっていきました。
技術と自信で奪ったスーパーゴール。全員で喜んだあとには、負傷離脱したFW9小川航基のユニフォームを掲げる「にくい演出」もありました。間違いなく、スターの振る舞いです。「後半は久保で勝負だ!」とか思ってすみませんでした……。(2回目)
この後は「お約束どおり」の展開になりました。日本の選手が「お前ら最初のプレー、約束と違うやろ」とばかりに攻勢を強める場面もありましたが、あくまでも冷静に受け止めるイタリア。そこで「空気が読めない」のも、気持ちの表現としては悪いことではなかったと思います。怒らせていたら怖かったですが……。
試合は2-2で終了。紆余曲折ありましたがミッションコンプリートということで、日本が決勝トーナメント進出を決めました。
余った写真
なんか光ってる!由緒ある寺院のご本尊みたいなたたずまい……!
良い笑顔。
次こそピッチで。
イタリアは総得点のことまできちんと考えて、あらかじめ2点とることで均衡点を設定してくれた説……?
— catena (@catenazioni) 2017年5月27日
考えすぎです。