【U-20W杯】アメリカはハリウッド流予定調和の同点劇、とにかくアジアで強いセネガル
U-20ワールドカップ3日目は、仁川サッカー競技場へ行ってきました。
この大会は24チームが出場。グループステージでは、A~Fまでの6グループに4チームずつが配置され、毎日2グループずつ計8試合が行われるため、この日ですべてのチームが初戦を終えることになります。
1会場では毎日2試合があるので、単純計算で6日間ほど見に行けば、すべてのチームを見られることにはなります。ただ、日本の試合だけは外せないので、そう簡単にはいきません。それ以外の日に、できるだけ多くのチームを見ておくことが肝要です。
ソウルから仁川へ
私が拠点としていたソウルから仁川へは地下鉄で約50分。スタジアム最寄りのDowon駅から目の前に見えるように、アクセスの良さはかなりのものです。時間が余ったら観光しよう……と思いながらゆったり行きました。
ところが、ゲストハウス最寄り駅を出発した30分後、スマートフォンを見ていると、あることに気が付きました。「あれ?なんか方向違うんじゃない?」と。
ソウルと仁川の位置関係は地図にあるとおり。だいたい西南西あたりに向かえばいい形になります。ところが私が居たのは下のピンにある位置。ほぼ真南に向かっていたのです。しかし、心当たりはありません。どうしてこうなってしまったのでしょうか。
調べてみると、原因はこの路線にありました。基本的に同じ種類の地下鉄なのですが、Guroという駅(上の地図で言うとアンダーラインを引いたあたり)で南と西に枝分かれしているのです。
ここでどうやら私は南に折れて行ったようです。もっとも、車内にはほとんど韓国語表記しかないため、これを防ぐのはよほど気を付けてないと難しそうです。その証拠に、他にも被害報告がいくつか見つかりました。
仁川(西のほう)に向かったはずが、いつの間にか何故か水原(南のほう)に向かってしまっている、通称グロ(九老)の罠。アジア大会ぶり二度目に引っかかるところだったぜ……。先に罠にハマって危険を思い出させてくれた大分サポーターに感謝(笑)。そして電車は混み混み。原稿書こうとか甘かった。 pic.twitter.com/LyNDr9mWgy
— 川端 暁彦 (@gorou_chang) May 22, 2017
屍を越えて行け!!
仁川サッカー競技場
そんなこんなでスタジアムの最寄り駅に着きました。
仁川のスタジアム、めちゃくちゃ駅から近いな!? ※同じ場所から前後に向けて撮っています pic.twitter.com/Vgtm2qBkKY
— catena (@catenazioni) May 22, 2017
スタジアムからは本当に近いです。便利。大幅なタイムロスがあったとはいえ、観光しなかったため時間があったため、カフェでブログを書いてから入場します。
仁川会場の手荷物検査、これまでの全州、水原より数百倍厳しくて長蛇の列。家族連れが持っていたプチトマトが取られてたのさすがに笑う。トマト爆弾はさすがにないでしょ。 pic.twitter.com/dJowhDPcEk
— catena (@catenazioni) May 22, 2017
家族連れは仲良くピクニック気分で来ていた様子だったので、ちょっとかわいそうな感じがしました。しかも、スタジアムに入ってしまえば席種のチェックなど何もないし、ビールを買えば缶を渡されるしで、日本のスタジアムに比べてもザルでした。
きっとセキュリティーの対象は選手に危害を加える行為というわけではなく、テロリズムや政治主張なんだろうなあ。
2012年に建設されたこのスタジアムは、Kリーグの仁川ユナイテッドが所有。2014年のアジア選手権を念頭に作られたものですが、そんな政治色を感じさせないほど、立派なサッカー専用スタジアムであります。(ちなみに写真は夜です)
アメリカ×ベネズエラ
長蛇の列をまったく考慮せずに時間をつぶしすぎたので、到着はキックオフ直前になりました。そのため選手の確認をしたり、フォーメーションを見たりしているうちに、立て続けにベネズエラが2得点。アメリカ同様に、私も出鼻をくじかれる形になりました。
ベネズエラは重心の低いドリブルが追いかけにくいFW7コローソと、中盤の潰し屋MF16キニョーネズが目立ちます。チームとしては日本が対戦した南アフリカと同様に、前線が攻めあがってからの間延びが課題のようです。
実際、徐々に落ち着きを取り戻してきたアメリカは、小回りが利いて身体が強いMF8アダムスや途中から出てきたミスター素材系MF18ジョーンズを中心に攻め込み、2000年生まれの異能FW19サージェント(軍曹?)の2得点で、55分ごろまでに追いつきます。さて、ここからはずっとアメリカのターン!
……といきたいところですが、59分にバックパスを受けたアメリカGK1クリンズマン(パパは元西ドイツ代表のユルゲン・クリンスマン)がまさかのミス。そのまま蹴り込まれ、勝ち越しを許してしまいました。その後は優勢のまま攻め続けるアメリカ、ちょいちょい拙攻を見せていましたが、最後の最後、94分にパワープレーから押し込みました。
なんというハリウッド映画感!最終局面で勝ったので、いかにもハッピーエンド風に終わりましたが、大枠で見れば「次回作に続く」というやつです。そもそも序盤のあれなんだったん?それと途中の凡ミスなかったら勝ってたやん?というところまで含めて予定調和なところが、いかにもアメリカンで良かったと思います。
なんだかそう考えると、映画人に見えてきた。(クリンスマンパパと元韓国代表のチャ・ドゥリです)
サウジアラビア×セネガル
2試合目は昨年秋、アジア予選で日本と決勝を戦い、0-0でPK戦までもつれ込んだサウジアラビア。戦い方は違えど実力はおおむね同じ。彼らがどれくらい戦えているかどうかが、そのまま日本の位置を測る試金石になります。
ところが立ち上がりを突かれて15分までに2失点し、その後も巻き返せないまま敗戦。ちょっと能力的に劣るかなという印象でした。セネガルは2002年の日韓ワールドカップで、王者フランス撃破を筆頭に5試合で「90分負け」なしという大躍進を遂げましたが、この日も危なげない戦い。相性が良いのかもしれません。(?)
チームとしては前線がスピード、フィジカルを生かしたアフリカらしいサッカーをしつつ、中盤と最終ラインはパワーだけでなく冴えた読みも見られました。目立っていたのはボランチのMF5ディアグネ。でかくて、脚が長くて、跳ね返せる。また、CB2枚はフィードもあるし、トップ下のMF17ディアッタは球離れも良いので使えそう。
サウジアラビアにとっては、予選で日本を圧倒していたフィジカルが長所でなくなったのが痛かったです。良い選手だなあと思っていたボランチのMF6アルナジはなぜか最前線にいるし、技術でも違いを作れていたMF10アルクフライフもいま一歩。別の長所を持たないと世界大会では日本以上に苦労しそうです。
終わりに
2試合目の試合前、謎のセネガル人が地元の小中学生らしき人たちから写真攻め、サイン攻めに遭っていました。この方はそのあとサポーターゾーンで応援していたので、たぶんセネガルから来た普通の人です。なんだか、いい光景でした。