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たぶんサッカーの話が多いです。

【J2第4節 大分×徳島】あらゆる引き出しを開けまくったがわずかに及ばず【現地参戦したのですこし遅くなったレビュー】

今季の現地初観戦です。徳島の過去の試合が変なフォーメーションばっかりで面白かったので、どうしてもスタジアムで上から見たいと思って無理して来ました。DAZNは変な寄りカットが多くなるからこういうときに困ります。

半年ぶりの大分銀行ドーム

ゴール裏をふらふらしていると、知り合いに会うこと会うこと。先行き不安な近況について話したり、日本一のスタジアムグルメと勝手に呼んでいる「あつめし」を食べたりしながら、時間をつぶしました。

印象に残ったのは試合前にずっとMF15清本拓己のチャントが歌われていたこと。前十字靭帯損傷というサッカー選手にとっては最大級のけがですが、昨季のJ3優勝の立役者に対する期待が表れているのでしょう。

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あとは試合前の選手紹介ムービーとMCが凝っていておもしろかったです。

 

フォーメーション

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大分は前節から2人をチェンジ。ワントップに途中出場で得点したクラブ公認インスタグラマーFW18伊佐耕平を据えて、右ウイングバックにDF29岩田智輝が戻ってきました。余談ですが、スタジアムに着いたら林ライスは売り切れていました。

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徳島は中盤ダイヤモンド型の[4-4-2]。Jリーグの試合では久しぶりに見たぞ……。MF6カルリーニョスが離脱したのか、G大阪ユースから新加入のMF32小西雄大が初出場です。プレースタイルは「俺、大卒ですが何か」って感じの突貫ドリブルシューターでした。

注目はFW16渡大生とMF11島屋八徳の好調2トップですが、DF2ヴァシリェヴィッチは声に出して読みたい名前ナンバーワンです。サブにはFW9アシチェリッチもいます。監督はリカルド・ロドリゲスなのでまじで普通です。世界に1万人くらい居そう。

前半

大分がこれまでの4試合で最も良い形でスタートを切ります。システム的にサイドの枚数が多いため、ウイングバックでボールを持つことができ、相手のアンカー脇に斜めのパスを通しながらチャンスを作ります。最初の決定機は8分。右に抜けたFW27三平和司の足裏落としからFW9後藤優介がシュートを放ちますが、相手DFに阻まれました。

徳島はMF8岩尾憲が下がって組み立てに参加し、MF26杉本太郎がフリーマン的に前線に飛び出したり、インサイドハーフ2人がサイドに抜けたりしながら、大分守備陣を動かすべくゆったりとした攻めを展開。初めはそれぞれの距離感が遠くてうまくいきませんでしたが、中盤が食い付くのをやめてからはコンパクトさが保たれ、徐々にペースを手繰り寄せていきました。

そんななかでスコアが動いたのは31分。DF2ヴァシリェヴィッチのふんわりとしたロングフィードに反応したMF23前川大河が左サイドを突破し、味方の攻め上がる時間を作ります。そこからシュート3本の攻勢をかけ、最後に押し込んだのはエースFW16渡。苦しい時間を作りつつも、しっかりと人数をかけた攻めが実りました。一瞬「あれ?バク転は?」と思ったけどそれは常盤聡だった。北九州っぽさ……。

その後も大分のMF33鈴木惇が徳島の中盤に釣り出される場面が多くなり、広大なスペースを使われるままに前半が終わりました。とくに徳島のMF26杉本はすごかったです。ボールを受けるポジションが良く、パスを出してもドリブルをしても安定感があり、相手のボールを狩ることもできる。そのうえ鹿島からのレンタル移籍で、顔も整っているとあれば、まじで岐阜県出身というくらいしか可愛げがない。

(3/19追記:映像を見ると失点直後からFW9後藤を右サイドに置いた[4-4-2]になっていました。)

後半

前半の終わり際と同様に出方をうかがうような形で試合が進みましたが、転機となったのは59分。徳島はMF23前川に代わってDF5石井秀典を投入し、前節の前半で披露していた[5-3-2]のような形にします。

きっと大分の中盤は「「「「これ、進研ゼミでやった問題だ!」」」」状態になったことでしょう。急にプレスがハマるようになり、良い形で攻撃に出られるようになりました。たしかにこのシステム対策の練習をしていたら、ダイヤモンドの[4-4-2]に食いつきすぎるのは致し方ない気もします。

60分に見せたMF33鈴木惇→DF29岩田→FW27三平→FW9後藤と前後左右につないだパスワークに始まり、直後にはFW27三平の突破からMF7松本が抜け出してシュート。これは惜しくも左に逸れましたが、その後もCKのこぼれ球からFW18伊佐のハーフボレーや、相手にイエローカードを出させたDF29岩田の単独突破など決定機は多くありました。

65分にはFW9後藤に代えてMF17國分伸太郎を投入。トリニータアカデミーが育てたサケ(ユースから大学に放流して戻ってきた人)第1号のプロ初出場です。 岡山県から大分県の高校に入学し、やんちゃ系ばかりだった世代のキャプテンとしてチームをまとめ、クラブユース選手権で史上初めて決勝トーナメントに導いた10番の姿がフラッシュバックしてきて、ちょっとうるっときてしまいました。

徳島は78分、MF26杉本に代わってDF19内田裕斗を入れて、システムを[5-4-1]にします。DF19内田が左ウイングバックに入り、DF22広瀬がセントラルハーフに入るという形になりました。なんだかこのメンツ、95世代の政一ジャパンを思い出します……。81分には声に出して読みたい系FW9アシチェリッチをFW16渡と交代させ、カウンター用には単騎のみ配備した防衛布陣を固めました。

すると大分は82分、FW27三平に代えてFW48川西翔太を投入し、相手の布陣に圧力をかけるべく[3-1-4-2](3/19追記:どう見ても[4-4-2]でした……)に布陣を代えます。MF33鈴木惇をアンカーに置き、2列目が左からMF7松本、MF20小手川、MF17國分、DF29岩田と並ぶような攻撃的なシステムです。(3/19訂正)ここからは完全に押し込んだ全員攻撃モードになりますが、MF17國分のおしゃれノールックパスが惜しくも通らないなど、最後の精度に欠けてしまいます。

そして89分にはMF7松本→MF24姫野宥弥という仕上げの交代で、今季初めての4バックである[4-4-2]としました。(3/19訂正)おそらく前線に重心を置く目的だったと思われますが、相手が専守防衛モードだったので練度は分かりません。もっとも、この大事な場面で繰り出せるという自信は感じます。

もっともアディショナルタイムにMF33鈴木惇の左CKがGK21上福元直人の頭上をかすめたくらいしか決定機はなく、そのまま0-1で試合を終えました。あそこで決めていたら「山の神?熊の神?……神福元ですが?」的な感じになったのに惜しかったです。ニアに突っ込んで行っていたので意識はあったはず。

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反省

よかったところ

  • 相手がスカウティングしていたシステムの状態では試合を支配できた

[3-1-4-2]というか[3-3-3-1]というかみたいなこれまで徳島がスタートから使っていたフォーメーションに対しては上手に対応できていたと思います。攻撃に出る際のアイデアも、システム変更を含めて、たくさんの引き出しが見られました。

  • リスクを負って攻めに出たなかでもカウンターへの対策はしていた

86分あたりに相手の抜け出しから決定機を作られそうになった場面はありましたが、その他はほとんどMF33鈴木惇インターセプトや3バックの寄せで危険を回避できていました。

  • 前線からの守備は戦略的にできている

これは会場で見ていて思ったんですが、FW9後藤とFW27三平の守備が想像以上にシステマチックでした。前節はFW11林が振り回されているような印象を受けていたのですが、ワントップがパスコースを切っているときに、きちんと後ろでアンカーやディフェンダーを見て、サイドを限定する意図が見られました。そこにMF33鈴木惇が出てきてつぶせる場面もありました。

悪かったところ

  • 悪い時間帯の過ごし方

相手のシステムによってプレスがハマらなくなることはよくあることですが、そこで引き気味になったときに縦ポンで起点を作られてしまったのは痛かったです。もともとDF4竹内彬が相手のFW16渡に競り負けるシーンはありましたが、それでも後ろに回られることはありませんでした。ただ、失点シーンはわりと簡単に抜けられてしまい、そこで時間を与えてしまいました。前節のように「守るべき時は守る」的な注意力があれば防げたように思います。

  • シュートがまったく決まらなかった問題

シュート数は大分:6、徳島:18と大差が付いたようですが、波状攻撃もあったので決定機単位ではそれほどの差はなかったように思います。単純にJ2の場合は5バックで守る相手をすり抜けてシュートを打たねばならず、それは難しいことだという前提はありますが、4バックを相手に戦った前節・山口戦もFW9後藤のゴールは精度あってこそのものでした。FW18伊佐にもパワーシュートだけでなく、前節のようなしっぽりシュートを期待したいです。

 

身も蓋もない言い方ですが、ぶっちゃけ運が悪かったと思います。「1本でも決まっていれば……」を悔やむのは選手たちだけでいいので、サポーターとしては進むべき方向は間違いないと信じてやっていくしかなさそうです。

 

余談ですが、徳島の勝利の歌がめちゃくちゃテンション高いジングルベルでした。なぜだ……。(たぶん強いんで昇格してください)

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