【J2第3節 大分×山口】頭脳と練度のパスワークに筋肉で勝利【どこよりも早いレビュー】
いよいよ、やってきました。待ちに待ったホーム開幕戦です。
まさかのアウェイ2連戦で迎えた2017シーズン、1勝1敗という結果はポジティブになっていいのかネガティブになっていいのか分からない状況ですが、サポーターにとってはお祭りムードでしょう。
選手コラボフードもありますよ〜😁 #trinita #スタグル pic.twitter.com/3XmwjHLb9G
— 大分トリニータ【公式】 (@TRINITAofficial) March 12, 2017
本日配布のマッチデープログラムにはウォーミングアップツアーの参加券がランダムではさまれております🎫
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マッチデープログラムを開いてこの参加券が入っていればピッチレベルで選手達のウォーミングアップが観れますよ🤗 #trinita pic.twitter.com/8cgMbP7IKb
外周ではイベントパフォーマーの方がこの様な格好でパフォーマンスをしてくれていますよ〜😆 #trinita pic.twitter.com/84JQl0fWO3
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トリニータ公式もいままでになかったようなテンションでTwitterアカウントを活用。よく分からない大道芸人っぽい人まで取り上げるくらいだから、「何かやってみよう」という気合が伝わってきます。とても良いぞ!
フォーメーション
大分は前節までの2試合から3人を変更。GKを高木“ヨギボー”駿→上福元直人、ボランチを姫野宥弥→鈴木惇、ウイングバックの岩田智輝を山岸智に代えて左右を入れ替えます。あれ……代えられた人、みんな伊佐のインスタグラムによく出てくる人じゃ……?(言ってはいけない)
変な邪推はさておいて、選手の入れ替えは山口の強みが距離感の近いパスワークと細かい陣形変更にあるためでしょう。後ろのスペースを有効活用する意味でも、相手の布陣が整わないうちに攻め切る意味でも、長いボールを使って展開ができる選手の存在は大きいです。
山口は道産子の前貴之(ポジションは後ろ)、大分アカデミー育ちの岸田和人と福元洋平(うちには上福元がいるから並福元と呼んでいきたい)、お洒落左利きの佐藤健太郎あたりに注目です。
前半
最近ではおなじみになってきましたが、圧倒的な山口ペースで試合が始まります。山口は完全に狙いを持ったビルドアップを展開していました。
本当は図示すれば分かりやすいんですが、山口のCB2人が開いて大分ワントップのプレスを誘い、左に下がったMF5佐藤が受けることでいなし、大分ツーシャドーの間でMF29三幸が受けて、縦に抜けるMF40小塚が攻めに出るというパターンです。
こうなると、どこまでプレスに行っていいのかわからなくなり、変にかわされるくらいならラインを下げるしかありません。もっとも、山口のパスが精度を欠いたり、対人ではがせる選手がいなかったりすることもあり、このような対応でも失点せずにすみました。結果論なので、今後は要注意です。
大分の初シュートは21分。縦への展開から苦しみながらMF7松本がつなぎ、FW27三平が落とし、FW11林ライスがダイレクトで打ちました。素早い突き方で、狙いはうかがえます。次のチャンスは40分。GK21上福元から受けたMF33鈴木惇が鋭い縦パス、そこに反応したFW11林がコントロールを狂わせてサイドに流すしかありませんでしたが、これも良い狙いです。
そして先制点が45分。大きくサイドに開いたCBの間に入り込んだMF33鈴木惇が前線にロングボールを展開し、FW11林が何とか頭で落とします。そこに飛び込んできたFW9後藤が、よく抑えたグラウンダーのシュートでファーサイドに叩き込みました。
片野坂監督にとっては、完全に想定通りの得点でしょう。大分の3トップは単純な身体の強さもなかなかのものがありますが、素早く動きながら強さを出せるという長所があります。相手CB2人は屈強ですが足回りが弱いので、鋭いロングボールへの反応には大分に分があるようです。
また、山口は構える場面でMF5佐藤が左気味に下がって3バックを構成していたため、そっち側でミスマッチを作ったのも偶然ではないと思われます。ここはマクロな戦術ではなく、ミクロな弱点なので素直にハイレベル。
後半
山口は前線で強さを出しきれなかったFW9岸田に代えてMF20清水丈瑠を投入。FW13米澤をワントップに持ってきます。身体能力の高い大分の3バックを前に、筋肉で勝つのは無理だと判断したのでしょう。やっぱり筋肉はすごい。
えー...合同(゚ω゚)
— ぐりーん (@aomidoronnn) March 11, 2017
ムキムキ苦手な私..... pic.twitter.com/deM24Y8g3D
筋肉戦術は59分のシーンでも見られます。山口FW8小野瀬が数的優位気味に抜け出しますが、DF6福森がちょちょいとショルダーチャージで吹っ飛ばして難を逃れました。その直後、大分のFW11林がドリブル突破でPKを得ますが、ポストに当てたボールを自分で触って機会を逃します。いや、脳筋かよ……。
山口は筋肉に吹き飛ばされ続けたFW8小野瀬を諦め、FW17加藤大樹を投入。大分は疲れの見えるFW27三平に代えて、伊佐スタグラムのメインキャストMF24姫野を入れます。これでMF20小手川がシャドーへ。70分には林→FW18伊佐(筋肉×ヒゲ×四十肩×インスタグラム=シブい)でムードは最高潮です。
再びスコアが動いたのは72分。左CBのDF6福森がなぜかドリブルで上がっていき、普段は攻撃に使わない筋肉で相手をバッサバッサを切り裂きます。そのまま左サイドを上がり切り、中へのスルーパスに反応したのはプレースタイルまでイタリア人っぽくなってきた伊佐。優しくワンタッチで流し込みました(筋肉ではない)。勝ったな!
大分は85分、ベテランのMF16山岸→DF14岸田翔平。もうピッチ上にお兄ちゃんは居ませんが、大分の地で双子対決が実現しました。だいたい双子は弟のほうが有名になる感あるのでがんばってほしいです。(でも珍しく弟のほうが守備的なポジション)
その後も山口はワントップが降りてきてシャドーが飛び出したり、シャドーが引いて受けてワントップが張り出したり、セットプレーでニアフリックを突いてきたり、いろいろやってきましたが、すべて大分守備陣がしぶとく守ります。(言うまでもなく、開幕戦で整備されていた5バック⇔4バック遷移のおかげであり、すべてが筋肉のためというわけでもない)
そんなこんなでアディショナルタイムの4分も難なく守り切り、試合は2-0でタイムアップ。大分がホーム開幕戦で2勝目を手にしました。
反省
よかったところ
- プレスがいなされた場面で引くという選択を前半のうちにできた
- 相手のパスワークに冷静に構えて、狙っていた大きな展開につなげられた
- 対人戦でほぼ負けなかった(筋肉大事)
修正したいところ
- 引くという選択だけでは、個の能力が高い相手に対応できない
- 選手の入れ替えだけでなく、戦術的な多様性もほしい
- PKでポストとかバーに当たったボールは蹴らない(大事!)
思ったより山口の選手層が薄くて助かった部分もあったと思います。それでも、布陣の遷移だけで細かいパスワークができる経路を作り、アクティブなサッカーをしている上野展裕監督はすごい。パス本数はざっくり350:800くらいっぽい。
今季は千葉や徳島(と前節の東京V)など豊富な人材がいるうえに鋭いサッカーをしてくるチームが多いので、このあたりにどう対応できるかというところが片野坂監督の腕の見せ所でしょう。
しかし、高松大樹市議(35)はピッチレポーターとかやるのか……。まったく喋れてなかったし、山口県出身だからだと信じたい。