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たぶんサッカーの話が多いです。

【J3第28節 大分×G大阪U-23】事故と衝突と4-1-4-1、金メダリストの凱旋試合

「俺たちのゴレアドール」、後藤優介の得点を守り切り、大分は今季7回目となる1-0勝利を収めた。「先制したら絶対に逆転される2015」を経て、しっかり試合を締めることができるようになったのは下位カテゴリに落ちたといえども成長である。(千葉とか大阪のほうを眺めながら)

これで後藤はリーグトップタイの13得点。いまや国内外を問わず優勝チームから得点王が出ることは珍しくなってしまったが、いまのチーム状況を考えると、最後の2試合を連勝で終えるには後藤が点を取る必要がある。すなわち、大分が自動昇格を成しとげるには、エースがプリンスリーグ九州に続いての得点王を獲得しなければならないのである。

人身事故につきキックオフに間に合わず

とは言ってみたものの、この試合での後藤のゴールを生で見ることはできなかった。前日の予定により、博多駅から12時着のソニック号で大分駅に向かっていたところ、日豊本線の立石~中山香(杵築市)間の人身事故により、2時間の遅れが発生してしまったためだ。

初めに宇佐駅宇佐市)で停車した時はそう大げさには考えていなかったが、徐々に車内アナウンスのトーンが落ちていき、30分後には「お急ぎの方は別の交通機関をご利用ください」という言葉が伝えられた。しかし言うまでもなく、別の交通機関などちょうどいい時間にあるはずがない。

もっとも、この試合で自分が目的にしていたのは、バーレーンでのU-19アジア選手権に出場した選手たちの対決。大分は岩田智輝と坂井大将G大阪は堂安律、初瀬亮、市丸瑞希の計5人がピッチに並び立つ可能性があったためだ。

ただ、停車中にメンバーをみたところ、想定外のメンツが並んでいる。G大阪の3人はいずれもベンチ入りすらしていなかった。この時点でわりと「今日はもういいかな……」という半ば諦め気分になっていた。

選手同士の衝突により試合ストップ

そうして停車状態のままキックオフ。スカパーオンデマンドで札幌×徳島を眺め、札幌が先制した状態から苦戦していくのを見ながら、「J2もたいへんだなあ」(他人事)と思っていると、30分ほど経ったあたりでようやく発車のアナウンスがあった。ようやく大分駅に向かうことができる。

しかし、停車場所の宇佐駅から大分駅まではソニックでも45分ほどかかる。さらに大分駅から試合会場の大分銀行ドームまでのシャトルバスはすでに出ておらず、定額タクシーを使っても25分くらいかかるだろう。このまま最速で着いたとしても、到着が後半終了間際になってしまう。

そのため、ここで観戦を諦めた。

……がその時、大分の山口真司とG大阪岡崎建哉が衝突し、岡崎が倒れたまま動かなくなり、試合が止まっているという情報が入った。状況を注視していると、ピッチに救急車が入ってきて搬送されるという事態になっているようだ。結局、試合は20分ほど中断になった。

2013年ホーム湘南戦の清水圭介を思い出しながら、容態を心配に思う一方で、「あれ、これ行けるんじゃね?」という思いがわいてきた。一度は諦めた可能性が復活したとなれば、諦める前よりも行きたい思いが強くなる。たぶん、売り切れ商法とかに弱いタイプである。

後半15分に到着

そうして予定より2時間15分遅れの、14時15分ごろに大分駅に到着。すぐにタクシーに乗り込み、大分銀行ドームに向かった。運転手に「あれ、もうすぐ終わるんじゃないですか?」と言われながらも、「試合が中断してたみたいなんです」と伝えると、わりと急いでくれたっぽい。

小銭がなかったうえに早めにメーターを切ってくれたので「お釣りはいいです」と急いで降り、シーズンチケットを忘れていたため当日券(J3なのに最安2300円!)を購入し、客席に入ったときには電光掲示板に60:00の文字があった。ソニック車内で見たとおりスコアは1-0。後藤優介の得点だった。

ラスト30分の経過

[3-4-2-1]で臨んで最高の60分間を見せた前々節・盛岡戦と同じく、最近の大分の課題は終盤に最終ラインが下がりまくることである。守り切ろうという意識が強いようには見えないが、運動量が必要なサッカーを志向していること、相手がアバウトなボールを放ってくる機会が増えることが主な理由だろう。

たしかに鈴木、福森で組んだCBコンビは高さの面での心配はない。ただ、引いて守ることによってセカンドボールを拾われるリスクは増え、J3ではあまり見られない精度のミドルシュートや、クイックなワンツーパスでゴール前に到達されれば、得点を奪われる可能性も高くなってしまう。

その意識は古巣対戦となった片野坂監督にも強かったようで、「ラインを上げろ」と伝えているように思われる手の動きを繰り返していた。また、用兵にもキープ力に長けた選手を使い、戦術と布陣の両面からテコ入れする姿勢が見て取れた。

はじめての4-1-4-1(私の観測範囲)

そのなかでも後半40分ごろから採用した[4-1-4-1]は有効策に思えた。すでにキム・ドンウクに代えて三平和司、清本拓己に代えて坂井大将を投入し、前線でタメを作る構えを見せていたが、攻め込まれるなかで推進力が足りなくなっていた。そこで、疲れの見える後藤優介に代えて吉平翼を起用することによる陣形変更である。

吉平を左サイドに置いて、左の松本怜を右サイドに配置。姫野宥弥をアンカーに置いて、八反田康平と坂井をシャドー、三平をトップに置くという形であった。3バックにして役割をハッキリさせるという手もあっただろうが、それをやると課題解決につながらない。不十分ながら攻撃に出る形ができたことによって、相手の圧力を減衰させる効果があった。

 そして1-0でミッションコンプリート。栃木との勝ち点差3を維持し、逆転優勝に望みをつないだ。

俺得写真集

 

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いいちこの看板のまえで花束を手にするU-19日本代表コンビ。金メダルを取ると多くの注目を集めるし、こういうねぎらいが出てくるのは素直に喜ばしい。アジアの舞台で課題もたくさん見つかったけど、応援してくれる人がいるからこそ越えられるんだぜ、という話。

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アジア選手権が終わってから初めてのホームゲーム。バーレーンでも張られていた(というか私が張らせていただいた)横断幕がゴール裏のど真ん中にあった。バーレーン前の鹿児島戦でも張られていたが、こういう見せ方は粋で良い。

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この日も、大分県が誇る大型公共施設は美しかったです。