Cateblo.jp

たぶんサッカーの話が多いです。

九州クラブユース選手権U-15 5位、3位決定戦、決勝(15.07.19)

5位決定戦

・小倉南FC(福岡) 2-0 FC BRISTOL(長崎)

今大会でひときわ異彩を放っていた両クラブが全国大会出場権を賭けたサバイバルマッチで対峙。攻守に運動の密度を高めて個の破壊力で得点を狙う小倉南、パスとドリブルでボールポゼッションに強いこだわりを見せるブリストルと両者の個性が光る展開となったが、フィジカルスキルで上回る小倉南が勝利した。小倉南はこれで帯広行き最後の切符を獲得。全国でも楽しみなチームだ。

前半の決定機は双方1つずつ。小倉南はセットプレーから長身センターバックのDF23大川智己の頭。ポストに当たった。ブリストルは左サイドに引いてきた偽9番のDF4宇多田健斗からゴール前に飛び込んだウイングFW7中西渉真のシュート。GK1石田晴也の好セーブに阻まれた。いずれもこれまでの試合で見せた王道的な形で、真っ向からぶつかり合う名勝負の予感。

先制点は後半開始直後の小倉南。左足から鋭いロングボールを蹴れるMF17宗廣昂希の左CKは相手ディフェンスに阻まれるも、ゴール正面に転がってきたところにFW11村上育海のダイレクトボレー。軌道は綺麗な直線を描いてネットに突き刺さった。ブリストルはセットプレーで長身選手のケアに気を取られ、セカンドボールに詰め切れなかったのが悔やまれる。その後は一進一退の攻防を繰り広げ、70分すぎからは猛暑で足の止まった小倉南をブリストルがいたぶる形に。両者のカラーが前面に出る展開となった。

ところが試合を動かしたのはここでも小倉南。ブリストルがサイドへの展開力を強めた終了間際、中央のスペースでボールを受けたFW14福田翔生と途中出場のMF13福田凌生の3年生ツインズが試合を決めた。凌生が抜け出して最終ラインと駆け引きし、ドリブル突破の翔生が意表を突いたループパス。重心を前に置いた相手ディフェンスを置き去りにした凌生がGKと1対1となり、落ち着いて右足で突き込んだ。ベンチに飛び込む翔生、ここで控え選手とスタッフがピッチ内になだれ込んだ場面からも、チームの雰囲気の良さが見て取れた。

システムは両チームともにアンカーを置いた[4-3-3]を採用。けれども戦い方は両極端。小倉南が恵まれた身体能力を生かしてハイテンションに敵陣へ一直線に攻め込む一方で、ブリストルは鍛えぬいた足元の技術で角度を付けたパスワークを繰り出し危険なエリアへ侵入する。剛の小倉南に、柔のブリストル。欧州サッカーでたとえるならばドイツ対スペインといった趣だろうか。

もちろん小倉南に技術がないわけではないし、ブリストルに強度がないわけでもない。小倉南はもともとドリブルを中心とした個人技が特色のクラブ、練習では徹底的に技術を磨いている。ブリストルだって密集地でボールを失った際の取り返す意識はとても鋭い。すなわち両チームとも選手たちは総合的に高い能力を持っているが、チームとしての志向を定めた結果、以上のような二項対立が生まれたのだと思われる。

大切なのはピッチで何を表現するか、だ。小倉南は高い技術に支えられた運動強度で勝利を志向する。ブリストルは鍛えた技術を披露するために必要な強度と闘争心を育んでいる。「俺たちは○○のチームだから△△は必要ない」ではなく、「俺たちは○○では負けられないから△△も怠らない」といった意識がきっと根付いているのだろう。

「作品のクオリティーは捨てた部分のクオリティーで決まる」といった考え方がある。きっと小倉南はパスワークとドリブルを押し出して戦うこともできるのだろうし、ブリストルも密集地で狩り取ってからのショートカウンターでも十分に勝負できるチームだ。それでも目指す場所を定めて長所を極めようとするからこそ、それが個性となって哲学になる。持っているものの一部を時には捨てられるような大きな武器があるからこそ、こういった決戦の場で質の高いサッカーを見せることができるのだろうと思いました。今後も楽しみにしています。

 

3位決定戦

大分トリニータ(大分) 0-4 ブレイズ熊本(熊本)

ノーコメント。あの試合のあとにここまで気合のないプレーをするか……。

ブレイズはアミーゴス戦に比べてずいぶん気持ちが入ったプレーを見せていた。こういうチームには全国でもがんばってほしい。

 

決勝戦

アビスパ福岡(福岡) 2-3 サガン鳥栖(佐賀)

堅い守備と前方への推進力を武器に戦うチーム同士の対戦は、ゴールに直結する役割の選手が目立ったサガンの勝利。見事に大会初優勝をなしとげた。

サガンはこれまで通りの[4-4-2]、メンバーは3年生中心。アビスパは[4-1-4-1]に変更し、疲れの残る前線選手を休ませた形か。

前半はサガンの誇るFW9鶴陽裕、FW10石井快征の2トップと、アビスパの左サイドバックDF19桑原海人が単発の攻撃を繰り返す淡白な展開。決勝戦とはいえ両チームともに全国大会出場をすでに決めているせいか、消化試合的な趣のゲームとなった。

ところが後半は一転。ハーフタイムで優勝の重みを再確認したのだろうか、互いにリスクを避けつつもチャレンジングなボールを使い始める入りとなる。そして44分に試合が動く。角度のあるパスワークで相手を押し下げたFW10石井がゴール前でパスを受けると迷わずシュート。相手の足に当たってGKを突き、ゴールマウスに転がっていった。U-15日本代表のエースは強敵・小倉南戦の2ゴールに続いて決勝でも大きな仕事を遂げた。

51分の追加点もサガン。引いて受けたFW10石井がフリーとなって抜けたFW鶴にラストパス、右足で落ち着いて流し込んだ。68分、アビスパも交代選手の働きで1点を返す。突貫ドリブラーFW11庄司一輝に代わって出てきたMF22篠田憲政がファーストプレーでゴール。篠田はボランチを主戦場とする守備の要だがこの大会では4得点。固め取りでないところからも決定力を見せつけた。

一気に追いつきたいアビスパだったが、リスクを負って攻め込んだ73分にサガンが追加点。広大なスペースが空いた左深めからのクロスにファーサードで交代出場のMF8兵働透生。アビスパにとってこの失点は仕方がない。

そして諦めないアビスパ。後半途中から出てきたFW13田代紘希のドリブル突破からMF22篠田につないで、最後はエースMF10北島祐二。再び1点差に詰め寄った。その後も一方的に攻め立ててDF19桑原も積極的に攻撃参加。80分には強烈なミドルシュートがポストを叩くなど奮戦したが、そのまま試合は終了。後半に5点が入る乱打の決勝戦となった。

 

気になった11人(私見)

上位進出クラブから[4-2-3-1]で選んでみた。ポジションの関係もあるのでベストイレブンではない。ポジションは右から。

GK:佐藤大晟(サガン鳥栖

DF:小田伊吹(FC BRISTOL)、大川智己(小倉南FC)、栗原幸一郎(アビスパ福岡)、桑原海人(アビスパ福岡

守備的MF:篠田憲政(アビスパ福岡)、佐藤潤弥(アミーゴス鹿児島)

攻撃的MF:庄司一輝(アビスパ福岡)、山口隆希(サガン鳥栖)、高畑奎汰(大分トリニータ

FW:石井快征(サガン鳥栖

 

3週間にわたる熱戦、おつかれさまでした。そして、ありがとうございました。