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たぶんサッカーの話が多いです。

今年もやってきた最高の「夏祭り」にむけて

長かった梅雨も明け、いよいよ群馬の季節になりました。
高校生クラブチームの最高峰を決める日本クラブユースサッカー選手権(U-18)が、本日22日から群馬県前橋市で始まります。

天気予報を見ると、前橋市の最高気温は36度。その後も1週間後まで33度以上の水準をキープしており、サッカーどころかただ外に出ているだけで厳しい環境でのプレーになることは間違いなさそうです。

週末には新潟県での国際大会でセルビア人選手が救急搬送されるなど、夏の大会の熱中症対策には大きな不安が残ります。ただでさえ日没後の練習が多くなるクラブユース生にとって、日中炎天下での試合は不慣れな状況。何かがあってからでは遅いのですが、試合をするからには最善の準備を尽くしてほしいと願います。

自分は27日夜に関東入りして、翌28日の早朝から群馬に向かおうと思っています。準々決勝からの参加とずいぶん遅くはなりますが、行くことができなかった昨年の状況(速報サイトをリロードしているだけで仕事にまったく手が付かず)を考えると現地に行けるだけでも幸せなこと。会場で会う皆さんはよろしくお願いします。

 

さてさて、前置きはこれくらいにして、ここはわれらが大分トリニータU-18の紹介をしようと思います。ひいき目を抜きにしても、今年もしっかり注目されるに値するチームです。
前回大会で史上最高タイのラウンド16進出を成しとげた主力メンバーは多くが卒業。日本有数の技巧派トライアングルを擁してボールを支配し戦うチームから、切れ目ない運動量を武器にショートカウンター主体で戦うチームになりました。システムは[4-4-2]と[4-1-4-1]の併用。ほぼ同じ選手ですが相手に合わせて使い分けます。

オンザピッチのキーマンは何といってもFW9吉平翼(3年)。トップチームの登録選手としてJリーグにも出場し、年代別代表でもゴールを量産している17歳です。前線から相手のボールホルダーを追いかけまわして相手のミスを誘発し、中盤にボールを預けたところで自分はゴールへ一直線。クロスへの鋭い反応と相手サイドバック裏へのロングランは一見の価値ありです。
チームマネジメント担当は双子の兄であるセンターバックのDF27吉平駿(3年)。両足から繰り出されるフィードと機を見た持ち上がりもハイセンスですが、味方への指示の説明力が何よりすごい。プレーが切れた場面で彼の声に耳を傾ければ、このチームは「駿の理性」と「翼の野生」で成り立っていることが分かると思います。一番近くにいる相方の長身DF4中畑雄太(2年)との連携は特に見どころ。別府ミネルバで過ごした中学時代は中盤で全権を与えられていた素材系ですが、彼がここまで安心して見ていられるディフェンダーになったのも吉平駿の功績でしょう。
MF10宮地裕二郎(3年)とMF7鷺原拓也(3年)の両サイドアタッカーは昨年から引き続いての主力組。カウンターが武器になる今年のチームにとってサイドの槍は生命線ですが、突破だけでなく徐々に点が取れるようになってきたのは好材料です。サイドバックは左がフィジカルスキルならチームトップ、長身DF3戸髙航汰(2年)。右は守備では相手にへばりつき、攻撃では中にえぐり込める小兵DF14宮原太一(3年)。後者は進路が気になる隠れた名選手です。心の底から「見つけられて」ほしい。
トップ下は野生児MF8浅原直弥(3年)、スーパールーキーMF36酒井将輝(1年)、柴崎岳似のレフティーMF20野上拓哉(2年)が争う形。学年に反比例して「大人のプレー」を見せているところがおもしろい競争になっている要因ですが、全員の強みはそこにあるんだと思います。愛されキャラの浅原は「ゲキサカで名前が青くなるくらいに活躍したい」と常々口にしていましたが、全国大会を前にして目標を達成した模様。次はもっといい顔で映れるようにがんばろうな!(http://web.gekisaka.jp/player/?37481-37481-jp
クラブ史上最高に偉大だった卒業生コンビの穴が開いたボランチは個性でカバー。何でもできるからどこにいても目立つ、ミスターオールラウンダーMF29岩田智輝(3年)と、やたらと細くて長身のMF5江頭一輝(3年)。U-18日本代表でトップチーム登録もされている岩田のスペシャリティーはいまさら説明するまでもないですが、個人的に今大会の江頭はかなり注目しています。長い脚から繰り出す鋭いサイドチェンジだけでなく、セットプレーでは秘密兵器。なかなか高校生には珍しい重心の入ったヘディングをします(江“頭”だけにな……)。ちなみに[4-1-4-1]の場合は岩田が一列前へ。
最後尾でゴールを守るのはGK1真木晃平(2年)。相変わらず指示をDFに任せっきりなのが気になるところですが、シュートストップは一級品。試合中は大人しくしていますが、勝利時のラインダンスではラインを逸脱して踊るナイスキャラです。
サブも引き出しは豊富です。不器用だけどスピード&パワー系FW13岡将大(3年)やドリブルからのクロスは止められないMF11大串収亮(3年)、省力のぶんだけパスにこだわるMF6野尻陸生(3年)など、どこかできっかけを掴めれば上に行けるタレントも多く抱えています。猛暑の中では選手層の厚さも大事。彼らにとっても良い夏であってほしいと思います。


と、決戦を前に有り余る感情を少しでも昇華させようとあれこれ書いてきましたが、究極的には「たった3回しかない高校生の夏のうち1回」をみんなが幸せな形で過ごしてくれればそれでいいなあと思います。

かねがね思っていましたが、この大会は単なる夏祭りです。長い1年間のたった10日間で開かれる、それほど多くない高校生のサッカー人口さえも一部しか網羅できないような小さなお祭りです。
あまりに過酷な環境下での一発勝負のトーナメント戦なんて、彼らの過ごしてきた道のり全体を評価するものにはなり得ません。ここで普段のプレーができずに敗れたとしても、それぞれが輝かしくあるだろう未来への通過点にすぎません。
しかし、参加する選手たちにとっては、とても大事なお祭りです。彼らはこの大会を大切に思っていて、この大会に並々ならぬ価値をおいています。

だからまずは応援したいと思います。全員の安全を願う気持ちは前提としてありますが、できれば悔いの残らないくらいに精一杯の気持ちで臨んで力を使い果たしてきてほしいと思います。
もちろん本当は大人が「環境は整えたからあとはがんばれ」と言えるのがいいんでしょうが。

現地に行かれる方は気を付けてください。
数百人のプレイヤーにとって大切な一瞬一瞬を目の前で初めから体験できるのは素直にうらやましいですが、熱気に飲まれすぎることのないようご配慮ください。自分も1週間後を楽しみに、休暇に備えた仕事に取り掛かります。


そして、できれば今年も素敵なチームに仕上がった大分U-18をレポートしてください!(結びにして本題)